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北森ペット病院


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2017年12月29日 (金)

インフォームドコンセント①

こんにちは。北森ペット病院・北森です。当院ブログに来ていただき、感謝いたします。


今日は、インフォームドコンセントについてのお話です。この話題については、色々考えることが多いので、おそらく今後、何度も何度も取り上げると思います。


さて、動物病院のHPでは、『インフォームドコンセントを大切に』してとか、あるいは飼い主さんが病院を評価する際に『あそこはインフォームドコンセントがしっかりしている』とか、よく見たり聞いたりすると思いますが、


インフォームドコンセントってそもそも成立しずらいと考えていた方が、身のためです。

お互いに。


20世紀の発見の一つに、物(現象)があって言葉があるのでがなく、言葉があって物(現象)があるというものがあります。はじめに物(現象)があるので出なくて、人の認識が、物(現象)を、言葉で世界から切り出していくという考え方ですね。


つまり、認識が問題なのですから、言葉の存在性や意味は、民族や生活環境の違いによって変わるということですね。


例えば、良くある喩に、日本にはデビルフィッシュはいませんし、アメリカには肩こりはありません。日本は様々な天候を表す言葉がありますが、非常に稀有な民族といわれてますね。虹も5色の民族がいます。ネットなんて言葉も、90歳近い私の親父にとっては、『網』ですしね。


つまり、あなたと私の使う言葉がまったく同じ意味を持つなんてとても言えない上に、時に非日常の言葉で、世界を説明する医療用語が、いつも正確に伝わるなんて、安易に言えますか?しかも、時として、緊張と不安の中で。


以前、ずーとかかられていた・・・・つまり相応のやりとりがあった・・・・この間、我々は、互いに『間』や『言葉作法』や『論理のすり合わせ』のやりとりを交わし、コミュニケーションの齟齬を少なくし、誤解を防ごうとするのですが、


このようなシーンがありました。


私 『これは悪性腫瘍ですね。』

患者 『よかった、癌じゃないんですね。』

驚きましたね。


毎回、お二人で来院され、同じ話を聞いているはずのご夫婦なのに、一方の方が、『そんな話聞いていない』なんて激怒し、それをパートナーが『それは前に先生が言ったよ』なんてなだめるシーンなんてしばしば・・・・本当にしばしばあります。


我々の世代は、昔、やりましたね。伝言ゲーム。単純な短いセンテンスでも、伝わらないものなんですよね。


もう一度書きますが、インフォームドコンセントを簡単なものと考えていたら大きな間違いをおかしますからね。


現場では、『命』がかかっていますので、肝に銘じてください。


インフォームドコンセントが簡単に成立すると思った瞬間が、一番危険なのです。

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