動物病院の医療設備
こんにちは北森ペット病院・北森です。当院ブログに来て頂き、感謝いたします。
今日は、動物病院の医療設備についてです。
約10年前、世界的な内視鏡メーカーが、国内おける動物病院の医療機器の設備投資についての意識調査を実施しました。
その結果、約20%の病院が、積極的な設備投資を考えていることがわかり、当該メーカーは、その20%の全ての病院に内視鏡を導入する意気込みで、売り込みを開始しました。
それから10年がたち、そのメーカーの方とお話しする機会が先だってあったのですが、大体の目標は達成できたと言う事でした、しかし逆に言えば、20%の壁は越えられなかったということです。
20%・・・・・この数値を皆さん、どう考えますか?。
当院は10年前に購入済みでしたが、当院クラスの規模の病院で、内視鏡対応の症例は年間5症例以下で、実際に内視鏡使用頻度となると、(金額面や全身麻酔のリスクなど)、年間1症例程度となります。
内視鏡は、当院の車よりは遥かに高価です。不謹慎な言い方をあえてすると、内視鏡は、絶対に元が取れる機器ではないですね。
そのほかにそのような機械には、心電計(車1台分)や眼圧計(高級時計1個分)がありますが、同様に月1~数回程度の稼働率です。
動物病院は、全科診療の看板を背負っています。様々な症例が、毎日来院するわけです。
20%の病院は、治療はもしかしたら出来ないかもしれないけど、疾患の所在くらいは突き止めたい一心で、非常にレアなケースの事まで考慮して対応しようと、設備投資を日々考えています。頭がしびれるほど・・・・。
ただ悲しいかな、製品は売りだされた直後から風化が始まります。既に、新しい規格、概念の製品が、5年後には俺を買ってよと、メーカーの研究所で販売されるのを待っているのです。設備投資には終わりが無いのです。
我々にとっては、『もういいかな~(もう買うのいいかな~)』と思う時が、おそらく病院の閉め時なんでしょね。
(人が作ったものって、悲しいね。必ず色あせるからね。ロックもそうだね。曲は完成された時から風化する。作曲をしなくなったロックシンガーなんて、終わりだね。生活の為に、昔の名前で出ている奴なんてロッカーじゃないよね。私も昔の名前で仕事なんてしたくないね)
仕事に対する気持ちや、心意気は眼に見えませんが、その20%の先生方には、同志的なシンパシーを感じます。
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