論文捏造
北森ペット病院・北森です。当院ブログにきて頂き、感謝いたします。
本日は、先だって日本最高峰の研究機関(iPS研究所)で起きた論文捏造事件についてです。
もちろん、論文捏造自体は良くない事ですが、事件が起きた背景には、大学をはじめとする日本の高等研究機関が抱える大きな問題が横たわっています。
承知のように、数年前から、国は、研究の効率化の名のもと、大学などの研究機関を株式会社化してきました。成果主義の導入です。
株式会社は、最小限の投資で最大限の成果を短期間に生み出すことを目的としています。それはそれで合目的でしょうが、研究は、長期的視野にたって行うもので、しかも失敗など思わぬところからイノベーションがおこります。ミスから新しい発見が・・・なんて話は良く知られた事実ですよね。科学研究におけるパラダイムシフトは、予想もできないところから起こることがあるのです(まさにiPSがそうでした)。
つまり、株式会社的な成果主義にはまったくなじまないのが研究なのです。
今回事件が発生した研究所は、日本の威信をかけた機関ですが、事件を起こした研究者をはじめ、多くの研究者が3年程度の委託研究者です。つまり3年程度で目に見えた成果が無ければクビ(トランプさんの好きなfireですね)なのです。
捏造した研究者も、相当焦っていたのだと思います。
繰り返しますが、あらかじめ成果が予想できないのが一歩先を行く研究であって、数年で計画的になされるのは単なる実験で、研究じゃありません。
日本の高等教育の失敗に関する雑記を以前に書きましたが、先日、米国の研究機関の発表で、中国が、科学論文数で米国を抜いて世界一位になったようです。日本は、インド、ドイツ、英国についで6位に後退です。
中国は人口が多いというアドバンテージがありますが、国民1人あたりの論文数に換算した場合、日本は韓国や台湾よりも下です。
研究機関の株式会社化、それに伴う研究者の小手先の成果の追及、論文の劣化・・・・・
今回の日本トップクラスの研究所でおきた捏造事件や、計量化できるデータを見ると、科学立国日本の土台が崩れて行くような気がします。