インフルエンザ
北森ペット病院・北森です。当院ブログにきて頂き、感謝いたします。
本日は、インフルエンザの話です(人の)。
私、Doctor(人医)に最新の医療情報・学会情報・論文を提供する専門のサイトに登録しているので、様々な医学のトピクスが入ってきます。獣医学にも応用できたり、最新の医学知識が吸収できるので、とてもよい刺激になっています。
最近、そこでインフルエンザに関する世界最新の情報が掲載されていたので、紹介いたします。
元のデータは、下記高級誌Lancetからですが、
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/?term=lancet+2017+390+697-708
これをもとに専門医が解説していました。併せて、ピックアップします。
それによると
① パンデミクを起こすのはA型で、B型はおこさない。
(A型のスペイン風邪の時は、日本では100人に1人が死亡したんですね)
② インフルエンザは、1人が1.28人にうつす。
(ちなみに風疹は1人が7~9人にうつすそうです)
③ 抗インフルエンザ薬は、健康成人の症状を1日未満短縮。また重症者の肺炎や入院期間をそれぞれ0.5倍、0.3倍にする。
④ 65歳以上、妊婦、小児などにはワクチンが効果的。
⑤ ワクチン株と流行株が一致すればワクチンの有効率は50~60%。
⑥ 日本では、子供の集団接種がなくなって、高齢者の肺炎による死亡率が上昇した。
(郡免疫が高齢者の死亡率を抑制していたんですね)
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/?term=N+Engl+J+Med+2001+344+889
⑦ 感染の拡大を抑制するために必要な集団免疫率(ワクチン接種率)は50~67%
⑧ インフルエンザ関連肺炎には、インフルエンザウイルスによる肺炎と、インフルエンザ後の細菌性肺炎(肺炎球菌、MRSAなど)がある。インフルエンザの症状が始まって、4~14日後に再度発熱があった場合は(2峰性)、細菌性肺炎を疑う。
⑨ インフルエンザの感染は、空気感染、接触感染、飛沫感染でおこります。ちなみに結核は空気感染のみだそうです。換気をよくしてサージカルマスク(普通の人は手に入らないですが)をすると、インフルエンザの感染は、だいたい防げる。
⑩ 小児インフルエンザでアスピリンを投薬すると脳炎や肝炎を起こすので注意(有名な話ですね)。特に幼児の死亡率は30%にもなる。
⑪ インフルエンザでは希に脳脊髄炎、ギランバレー、無菌性髄膜炎を起こす
以上です。
私的には、⑥の情報には驚きました。高級誌に、米国人研究者が報告したデータです。
医学の情報は、獣医学と違い、論文を引いて、細かい数値にまで言及します。獣医学とのレベルの差にいつも驚いています(とても勉強になりますが)。
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