患者の不満①
北森ペット病院・北森です。当院ブログをご覧頂き、感謝いたします。
今日は、患者さんの不満についてです。
(例によって)医師専用の情報サイトで報告されたデータに関して・・・今回は、全国2000人の患者さんの、病院に対する満足度に関するアンケート結果についてです。
(獣医領域では、なかなかこのような大規模調査は行われませんが、同じ医療なので、とても参考になります)
報告では、医療への満足度に影響する一番大きな要因は、『医師による説明』で、他の、例えば『待ち時間の長さ』などにはあまり相関性が無いことがわかった・・・とあります。
要するに、患者の不満には、『医師の説明(不足)』が一番関係しているということです。
身につまされますね。
たぶん、獣医療でも、『獣医師の説明(不足)』の問題は、飼い主の不満に直結している問題だと感じます。
しかし、わかってはいるけど、この『説明』問題は、解決が難しい問題だという印象があります。
Aという症状でBと言う検査をしてCと判断してDの薬を出す・・・・医療の流れは、このパターンに多くは尽きるのですが、
我々の頭の中には、そのパターンの裏で
Dが効かない場合はFの薬を出して、D、Fが効かない場合はGの薬を出して・・・いやいやDの薬でHの反応が見られたらCの判断は間違いでIの薬を出して・・・・・・・そうそう、その場合はJの検査も必要かな
という延々続くストーリーが、常に稼働しています。
どこまで、今、話すべきか悩みます。
いくらその時点で思いつくことを全てお話したとしても、
治療中の予想もできない反応に関しては、当然あらかじめ説明はできません。しかし、飼い主にとっては『説明の不足』と、受け止めるでしょう。そんな場合、薬がどんどん変更されていくこともありますが、獣医師にとっては日常の治療の変更過程が、飼い主にとっては、そんなことは聞いていなかった・・・となるケースも多々あります。
現実をいくら言葉でとらえようとしても、その時点での言葉でとらえられうることしか、把握できません。常に、予断を許さない新しい現象がわき起こるのが現実なのです。
無限の症状のパターン(症状は個体にって違うものです)を、有限の時間で、有限の言葉で説明する難しさを常に背負っているのが医療者だと思います。
そんな話聞いてないよ!・・・・・・何度この言葉に反省したことか。でも・・・・難しい問題ですよ。
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