天上の批判は地上の批判
北森ペット病院・北森です。当院ブログに来ていただき、感謝いたします。
先だって、日本の高等教育の失敗の話で、日本の科学論文数が減少しているという話を書きました。
臨床獣医師もアカデミアのはしくれですが、天上の批判は地上の批判です。わが業界の論文数の少なさは、嘆かわしい限りです。
企業時代、医療の世界を見てきましたが、医師は、少なくとも若い時代、修行時代は、数多くの論文を数多くの診察をしながら書きます。また大病院ともなると、積極的に臨床データを調査し、論文として発表します。
論文は、必ず先達の批判から入りますが、それをして初めて自分の専門分野における建ち位地を俯瞰できます。審査を通り、はれて論文として認められ、科学者としてtake offできるわけです。
医師の世界と比較し、わが業界はどうでしょうか。私の知り合いの獣医師で、論文を書いている人間は、2割程度です。本当に悲しい限りです。
動物病院は、都会では少々乱立気味です。また人口の減少、犬の飼育頭数の減少など、業界がシュリンクする気配もあります。そのような状況を反映してか、昨今、患者を増やす方法、病院を大きくする方法など、コンサルテーションの話が、専門雑誌に良く掲載されるようになりました。
自己利益の拡大をはかる話・・・・・ばかりです。
例えば、腫瘍の認定医とか、皮膚科の認定医とかいうのはこの10年、タケノコの様に増殖してますが、彼らがまともに論文発表をしないので、彼らがやる療法の何が最先端の治療なのかわからないことが非常に多いのです。
認定医が、単なる宣伝だけになっている・・・・自己利益の拡大ばかりやっている・・・・・そんななんちゃって専門家ばかりです。
忘れもしない、開業当時、老看護師の患者さんが、私に、医者のように論文かける獣医師になりなさい、あなた方自身が業界を進歩させなきゃ・・・・と言いました。
その通りだと思います。
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