ドーピングと病気の不思議な?関係
北森ペット病院・北森です。当院ブログをご覧頂き、感謝いたします。
今回は、ドーピングと病気の不思議な?関係についてです。
冬季オリンピックも、もう少しで終わりです。
今回のオリンピックも、数人のドーピング違反者が資格停止となりました。ロシアに至っては、組織的なドーピングが指摘されましたね。
さて、ドーピングですが、基本的に3つのドーピングがあります。興奮、筋肉量増加、持久力増加です。
このうち、持久力を上げるドーピングには、自己血輸血といって、自分の血を自分に輸血して、赤血球量を上昇させるという方法があります。赤血球は酸素を体に運ぶので、赤血球量が増えれば、組織に運ばれる酸素量も増えるので、持久力があがるという理屈です。
自己血輸血ドーピングで有名になったのは、ツールドフランス7連覇のアームストロングで、映画にもなりましたね(ドーピング発覚後、記録はく奪)。
冬季オリンピックの名選手で、この自己血輸血ドーピングをずっと疑われた選手がいました。クロスカントリーで金メダルと3つとったマンティランタです。
彼の血液は、赤血球が非常に多かったのですが、彼は、ドーピングを否定し続けました。
医学が進歩し、彼の遺伝子を調べたところ、なんと、赤血球を作る遺伝子の突然変異で赤血球が沢山作られる、家族性多血症であることが後年わかりました。つまり病気だったわけですね。
パラリンピックの定義は知りませんが、明らかに病気でも、それが有効に働く場合は、パラではなくて通常のオリンピックへの参加になるのでしょうが、何かこの話は、腑に落ちない気がいつもしています。
また、癌治療の最前線では、遺伝子を人為的に変化させるゲノム編集技術が注目を集めています。もし今後、マンティランタのような遺伝子への変異を、人為的に安全に行える技術が確立したら、ドーピング検査ではひっかかりません(病気による変異か、人為的な変異はわからないので)。
近い将来、オリンピックは、遺伝子組み換え大会になるかもしれません(だって、マンティランタの記録がが正式なオリンピック記録として認定されたということはそういう事です)。
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