風邪をめぐるお話
北森ペット病院・北森です。当院ブログをご覧頂き、感謝いたします。
本日は、風邪(人の)についてのお話です。
最近、風邪の治療に関して、医師の診療報酬が改定されて、話題になっています。改定で、風邪の時に、抗生物質を処方しない方が、報酬が上がるようになりました。
この改定の背景には、あまりにも意味のない抗生物質の処方、乱用の為、耐性菌が増え、問題になっているからです。
医師に、抗生物質を乱用させないような改定なのです。
さて、そもそも、風邪ってなんでしょうか?
学会でも、明確な診断基準は無いようで、上気道炎と、気管支炎の総称で、先生によっては下気道炎を含むという方もいらっしゃいます。
では、原因は、何でしょうか?
実は、信頼できる臨床研究は少ないようですが、現段階では、症例の多くはウイルスが原因の様ですが、中には(特に高齢者)細菌のケースもあるようです。
ウイルスが原因であれば、当然抗生物質は無意味なわけで、今回の抗生剤乱用を防ぐ国の改定にも納得です。
ただ、風邪に病院で行っても、これはウイルス、これは細菌と原因を調べてから処方することは、現代の医学では不可能です。
原因が細菌だった場合・・・特に高齢者の風邪のケースは、症状がこじれる場合もあるので、やはり抗生物質が必要となるわけで、風邪の患者さんに、抗生物質を処方しないというのも勇気のいる決断だと思います。
では、逆に抗生物質を処方する場合、どの程度の期間が妥当かというと、専門家によると2日程度(長くても5日以内)とのことです。
そもそも今回の診療報酬の改定は、抗生物質の乱用による耐性菌を蔓延させないための施策でした。しかし、抗生物質を乱用しているのは、医師だけではありません。我々小動物(ペット)獣医師と、家畜の業界です。特に家畜の業界は、抗生物質を多用しないと成り立たない状況になっています。
抗生物質の発見は、人類の福祉に多大な貢献をしました。しかし、その乱用が、逆に人類を追い詰めることになるかもしれないのは皮肉ですが、我々獣医師も、ここの症例もさることながら、もっと大きな視座で処方を考え直すときかもしれません。
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