患者さんの不満③ 正しい判断はできない
北森ペット病院・北森です。当院ブログをご覧頂き、感謝いたします。
今日は、患者さんの不満についての③で、(獣)医師は、正しい判断はできないと言うお話です。
先だって、患者の不満には、『医師の説明(不足)』が一番関係しているというデータをお示しいたしました。
確認しますが、Aという症状でBと言う検査をしてCと判断してDの薬を出す・・・・医療の流れは、このパターンに尽きます。
この場合は、Dが効果を示すことで、後付けでCの判断は正しかったとなります。つまり医療行為の正しさは、常に過去完了形で表されるのです。
要するに、私たちは、医療行為をする際に、正しい判断ではなく、その時点で、『正しいと思われる判断』しかできないのです。逆に言うと、Dの薬が効かないことは良くあるわけです。
そういう状況で、、『(獣)医師の説明』をどう考えていくかをお話致します。インフォームドコンセントの話とかぶりますが、
① 患者は、(獣)医師の正しいと思われる判断(AからDにいく論理)をまず認識する
② 患者は、その論理を自身で理解する
③ (獣)医師は、患者が①を理解したことを、認識する
④ (獣)医師、患者は、Dを採用する
この流れが重要です。この流れさえしっかりとしていれば、Dの効果がなかった場合も、患者は、自身の事として何故Dの効果がなかったのか、(獣)医師側と、一緒に考えて行けます。
日常の話に置き換えると
① 学校の先生は『虹は7色』だと言った
② 生徒は実際に虹を見て7色だと理解する
③ 先生は、生徒が7色だと認識したことを知る
④ 教室で、今後、虹は7色だという知見を採用する
ここまでは、すご~く普通の話ですが、良く知られているように、虹の色は、民族によって違います(アメリカは6色、フランス5色、アフリカは3色)。
つまり④は普遍的ではない、①は、日本では正しいと思われる判断にすぎなかったということです。でも、①~④を正確に実施していれば、生徒は、先生に対する信頼をなくすでしょうか?おそらくいっしょに、どうしてそういう状況になったのか考えると思います。
(獣)医師は、正しいと思われる判断しかできません。医療・・・いや科学というものはそういうものです。そういう状況下で、患者側から出ている(獣)医師の説明に対する不満の源を、出来る限り論理的に考えて、相互理解を行い、医療を出来る限り信頼の上にたった科学技術にしていかなくてはいけません。
つづく
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