癌の治療Ⅵ 二次癌について
北森ペット病院・北森です。当院ブログをご覧頂き、感謝いたします。
今回は、癌の治療Ⅵ、二次癌についてです。
二次癌というのは、治療が原因で発生する癌のことで、今、ヒトの癌サバイバーの間で非常に注視されている癌です。初期癌(1次癌)治療後、数年から数十年後に発生する、1次癌とは種類の違う癌です。
いわゆる古典的な抗がん剤(アルキル化剤など)療法や、放射線療法が原因で発生すると考えられています。
分子標的剤と違い、抗ガン剤や放射線は、正常な細胞(の遺伝子)も傷つけます。癌とは前に書いたように、
http://kitamori.air-nifty.com/blog/2018/02/post-21c1.html
遺伝子の変異が数個蓄積して発生します。癌(一次癌)になった人というのは、多数の遺伝子に変異を抱えています。その上、制癌剤や放射線治療で、更に遺伝子が傷つくため、二次癌が発生しやすいのです。
米国の研究ですと、なんと癌の2割が2次癌だそうです。ちなみに、良く知られているデータですと、
抗がん剤(アルキル化剤)は、白血病(血液の癌)、
放射線療法は、中枢神経系、甲状腺、皮膚がん 等
のリスクを上げます。
しかし、1次癌を治療するためには、抗ガン剤や放射線が欠かせない場合もあり、治療的になジレンマです。
私も長生きをすれば、統計学的に、50%の確率で癌になります。高名な日本の病理学者が、運よくあなたの癌は治るかも知れないが、癌は地球上から撲滅できない・・・・とある場所で書いておられましたが、まさに敵の複雑さ、強大さに、おののいています。
数日にわたり癌の治療のお話(①、③、④のお話と、二次癌のお話)をしました。②が残っているのですが、②を説明するには免疫の基礎がわからないと無理です。免疫のお話は、非常に複雑怪奇な話になるので、いったん癌の治療のお話はここで止めて、また明日からいつものようなライト?なお話にもどります。
ちなみに獣医師で、免疫力アップで癌治療・・・・・・なんて考えている方は、癌と免疫のメカニズムをほぼわかっていないと思った方が良いですね。
いつか、わかりやすく、癌と免疫の話が出来たらと思います。
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