CONCORD-3(国別癌生存率)
北森ペット病院・北森です。当院ブログをご覧頂き、感謝いたします。
今日は、最近公開されたCONCORD-3の結果についてです。
CONCORD-3は、2000~2014年にかけて、世界71カ国、3750万(すごい!)の癌の症例を、国別に、5年生存率で比較した大規模研究調査です(無論ヒトの)。
https://www.ncc.go.jp/jp/information/pr_release/2018/0220/index.html
ようするに、癌治療の国力の差ですね。
18部位の癌について比較していますが、日本は、肺がん(治療)で世界一、胃・食道がんで、世界トップクラスでした(悪い方はあえて書きません。闘病中の方もいるので)。下記に、その生存率と、米国との比較、最低の国のデータを記します。
● 日本の5年生存率
・肺がん 32.9%
(米国 21.2%、最低はインド 3.7%)
・胃がん 60.3%
(米国 33.1%、最低はインド 8.9%)
・食道がん 36.0%
(米国 20.0%、最低はインド 4.1%)
肺がん、胃がんは、日本人には非常に多い癌です。ドラッグラグ(米国の新薬がなかなか国内で承認されないジレンマ)があるにも関わらず、この分野で世界一、もしくは米国をも上回るくらいの世界トップクラスですから、流石日本の医療水準は高いですね。
医療水準とは、医師の技術、薬の効果、検査技術の総和だと思います。薬に関しては、先に書いたように米国には負けますが、医師の技術水準と、検査技術がトップレベルなのでしょうね。
医師の技術は、私には評価なんてできませんが、検査技術は、国内は相当高いと思います。
肺がん評価で有用なCT、MRIの設置病院は世界トップクラスですし(設置数が多いという事は、画像評価水準も当然上がります)、胃・食道がん評価で有用な内視鏡技術は、世界をリードする会社オリンパスがありますからね。
この世界最高水準の治療を、公的な保険医療で受けられる日本に感謝しましょう。本当に素晴らしいことです。保険制度をつくった、そしてヨタヨタになりながらも維持している官僚のすごさにも脱帽ですね。米国人なんて、オバマケアが話題ですが、水準の高い医療を受けるためには、民間の超高額医療保険に入らざるをえず、皆、その保険料を稼ぐ為に働いているようなもんですからね。
ちなみに、動物では、胃・食道・肺がんは、めったにみない癌種になります。
北森ペット病院
http://kitamori.in.coocan.jp/
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