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北森ペット病院


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2018年4月14日 (土)

最近のフィラリア・ノミ・ダニ駆除薬に関する恐怖

北森ペット病院・北森です。当院ブログをご覧頂き、感謝いたします。


本日は、最近のフィラリア・ノミ・ダニ駆除薬に関する恐怖について書きます。


動物薬の新薬は、基本的に欧米発です。欧米は、動物愛護に関しては日本よりも先進的な国柄ですが、愛護の意味合いが日本とは少々違っています。


例えば、欧米では、先天性疾患や、コントロールできない疾患の子は、比較的安易に安楽死させます。海外の論文を読んでいても、すごく多いです。


新薬に関しても、動物の体に合ったというよりも、完全に、飼い主の負担を下げるような観点からの開発です。まあ、合理的な疾患管理ということですね。


最近の長期作用型のノミ・ダニ駆除薬や、それらとフィラリア薬の合剤がそうですね。


● 効果が1か月(以上)も持続する(長期作用型)

●1錠に何種類もの薬が入っている(合剤)


のが特徴です。


多くの飼い主は(いや獣医師も)、薬学に疎いので、投薬が楽で、効果もオールインワン、うん・・・そんなものか・・・と思われるかもしれませんが、おそらく、薬学を少しでもかじったことある方ならば、まずは薬剤の安全性に関して疑ってみるのが知性というものです。


例えば、


● 副作用が出た場合、どちらの成分かわかりません

● 副作用、アレルギー反応が長期持続する可能性があります。

● 効果が1か月持続と言えば聞こえはいいですが、見方を変えると、殺虫剤を1か月体内に残留させるということです。

● 常に体に薬剤があるので、他の疾患の薬との併用作用が常に心配になります

● 肝臓、腎臓の悪い子では、薬がどんどん体に殺虫剤成分が蓄積していく可能性があります

合剤に関しては、確かに、人間でも循環器のお薬とかにはありますが、長期作用型の薬剤に関しては、特殊なたんぱく製剤・抗体薬・ホルモン剤など体内成分に関連する薬剤は別にして、一般的には無く、投薬を忘れてしまう疾患の場合に検討されるくらいです。


http://www.info.pmda.go.jp/go/pack/1179410G1028_1_04/


私は、薬剤は、なるべく投薬と反応の因果関係が分かりやすく、体内になるべく入らず、体内に入っても速やかに体内から消えてなくなるのが安全性が高いと思っています。


(そう言う意味では、Fラインは、画期的でしたね)


まあ、膨大な頭数の実験犬達(安易にそんな薬を飲まされているワンちゃんの事です)のデータを見ながら、


私は、少なくとも、数年は、人間には無いような薬剤には手をだしません。


思いだします。


もう10年以上前、1回の注射で半年以上効果が持続するフィラリア予防薬が、なにもの入りで国内販売されました。私は既に、オーストラリアでその薬剤が死亡事故を起こしているのを論文でみていたので、国内の販売員に聞いたら、まったく知らないんですね。


人の医薬品の販売員は、MRといって、れっきとした資格職種ですが、動物薬の場合は、単なる営業です(今はかなり洗練されてきましたが)。まあ、海外論文なんて知らないですよね。


そして、結局、その薬剤は、国内販売されて、少なからずの死亡事故を起こしました。


私の処方の基本は、自分、自分の子供にその薬を飲ませられるかですからね(この発言、欧米人が聞いたら、大笑いでしょうね。人とペットは同じじゃないってね。)


北森ペット病院 (千葉県茂原市)
http://kitamori.in.coocan.jp/

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