ペットの突然死・急死
北森ペット病院・北森です。当院ブログをご覧頂き、感謝いたします。
今日は、ペットの突然死・急死について書きます。
毎年、数件、ペットの突然死・急死に遭遇します。特に犬で多い印象がありますが、体重の減少も無く、毛並みも良く、食欲も十分に有ったペットが、朝起きたら、仕事から帰ってきたら亡くなっていた・・・・・そんな事例です。
とても悲しい出来事です。
ヒトで突然死・急死と言うと、狭心症(心筋梗塞)、脳卒中が2大疾患です。
狭心症に関してですが、
ヒトの狭心症の背景には、心臓の血管の動脈硬化がありますが、動物の場合は、一部のウサギやハムスターを除き、動脈硬化は起こりません。また、犬の場合は、実験的に狭心症を起こしても死亡することはありません(心臓の血管走行が多いので、詰まってもなんとかなるのです)ので、ペットの急死の背景に、狭心症があるとは思えません。
脳卒中に関してですが、
人では動脈硬化と、高血圧が背景にある疾患ですが、前述のように犬猫には動脈硬化はありません。高血圧に関しては、犬猫とも腎臓病を持っている子の3割程度が発症しているとの報告があります。ただ、腎臓病を持っていると、痩せてきたり、飲水量が上がったり、なんらかの前兆があるものです。なので、飼い主さんが驚くかたちでの急死にはならないような気がします。また、犬のMRI検査のデータでは、犬の脳卒中の場合は、前庭疾患(首が傾く、ヒトで言うメニエールのような疾患)様の症状が多いとのことで、は意外と少ないようです。
では、ペットの急死・突然死の原因はなんなのでしょうか?
残念ながら、現段階では、私にはわかりません。
ただ言えることは、ほとんどが高齢のペットで、くわしい健康診断(ドック)を事前に受けていないケースがほとんどだと言う事です。
健康に見えても、実は、大病を抱えていたかもしれないのです。
ペットの死はつらいものです。しかし、臨床をやっていて思うのは、死自体もそうですが、死の原因がわからないことが、飼い主にとってどれほどつらいことか・・・・・。
最近どこの病院でも健康診断(ドック)を宣伝しています。当院もそうですが、やはり健康診断(ドック)というのは、とても大切なことだと思います。もちろん、それで全て原因がわかるわけではありませんが・・・・。
ちなみにヒトの場合は、年間120万人の方が亡くなっておられ、そのうち7人に1人が、原因不明死だそうです(人間の場合、事件の可能性もありますが)。
北森ペット病院(千葉県茂原市)
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健康診断
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