寿命の話③
北森ペット病院・北森です。当院ブログをご覧頂き、感謝いたします。
本日は、寿命の話③です。
生物の世界では、以前より、摂取カロリー制限(caloric restriction, CR)が、寿命を延ばすことが知られていました。
1935年のネズミを用いた実験が有名ですが、2009年には、猿も同様にCRで寿命が延びることが実験で明らかになりました。
さて、このCRによる寿命延長の効果ですが、長らくメカニズムがわかっていませんでしたが、最近、面白い報告を見つけました。
その前に、生物の体は、常に細胞が置き換わっています。また恒常性を維持するために様々な物質が体をめぐっています。
これを調整するのが言わずと知れた遺伝子ですが、21世紀に入って、この遺伝子が、後天的に調整されていることが知られるようになり医学の世界では一大ブームになっています。
それを、遺伝子のエピジェネティック(後生的)な修飾といいます。
一般の方は、遺伝子が全てを調整していると思われているかもしれませんが、実は、遺伝子それ自体も、エピジェネテイックな調整をうけて発現が制御されています(つまりある遺伝子があっても、エピジェネテイックな変化で、遺伝的な効果を発揮しないということ)。
例えば、癌は、癌を抑制する遺伝子によって、癌の発生が抑制されていますが、この癌抑制遺伝子がエピジェネティックな修飾で変異すると、癌の発生が高まります。
報告では、加齢によりエピジェネティックな修飾を受ける遺伝子が増えますが、CRをその速度を減少させることがわかりました。
肥満と癌の関係は有名ですが、
http://kitamori.air-nifty.com/blog/2018/01/post-3be9.html
肥満もカロリーオーバーですから、今回の報告にも明らかに相関する話ですね。
腹八分目と言いますが、ようやくその言葉に科学が追いつきましたね。昔の人は偉いですね(笑)。
北森ペット病院(千葉県茂原市)
http://kitamori.in.coocan.jp/
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