無料ブログはココログ

北森ペット病院


« 2018年7月 | トップページ | 2018年9月 »

2018年8月

2018年8月30日 (木)

癌・免疫療法のブレークスルーとなるか!

北森ペット病院・北森です。当院ブログをご覧頂き、感謝いたします。


今日は、少々驚いた論文の紹介です。



非常に権威の高い医学ジャーナルに、転移性乳がんが完治した というレポートが掲載されました(写真付です)。



世界初です!



転移性の癌は、もともとあった原発癌と違い、転移の過程で性質を変え、様々な治療に反応しないのが常識でしたから、非常に非常に画期的です。



行った療法は、最新の免疫細胞療法+免疫チェックポイント阻害剤の併用です。

今、その話が、世界を駆け巡ってます。

https://www.natureasia.com/ja-jp/research/highlight/12537

写真です

https://www.nih.gov/news-events/news-releases/new-approach-immunotherapy-leads-complete-response-breast-cancer-patient-unresponsive-other-treatments

ちなみにこの免疫療法ですが、獣医がその辺でやっているLAK療法見たいなチープな療法ではありません(あれは効きませんから)。おそらく、1000万以上かかっているでしょうね~。



でも、興奮しますね。



かなり期待ができる療法です。



北森ペット病院(千葉県茂原市)
http://kitamori.in.coocan.jp/

2018年8月28日 (火)

科学って何?⑤

北森ペット病院・北森です。当院ブログをご覧頂き、感謝いたします。



今日は、科学って何?・・・・の、その⑤です。最後です。



最後に、サプリメントの話をします。



世に出回る少なからずのサプリの原料は、産業廃棄物由来です。



実をとったトウモロコシの芯とか、身をとったカニの甲羅とか、サメの骨とか・・・・ある頭のいい人が、もったいないと思って、商品化したんですね。



さて、サプリで有名なコンドロイチン、グルコサミンですが、



もともと、関節の構成成分ですから、食べれば関節痛に効果があるのではないか?と考えられました。



まあ、ここまでは科学ですね。



しかし、臨床医の間で、効いてないのでは?



という疑問が持ち上がり、紆余曲折を経て、大規模調査が行われ、



やっぱり効かないよねってデータが出て

コングルコサミンは効果なしコンドロイチンじは少し効果がある

グルコサミン、コンドロイチン効果なし




学会のガイドラインも、効果なしと宣言しました。

www.jstage.jst.go.jp/article/jsjd/35/1/35_1/_pdf
(2016年版、P 5 -16 -17参照)



今の科学的見解は、コンドロイチン、グルコサミンは効果はない・・・・少なくとも医療経済学的には意味がないという結論です。



この結果を覆すには、別のアプローチが必要になるでしょうね。でも、科学ですから、やはり、膝痛のこのパターンには効くというデータが今後出ても不思議はないのです。



いろいろ書いてきましたが、



科学は、反証可能性、反証の作法が重要ということです。



北森ペット病院(千葉県茂原市)
http://kitamori.in.coocan.jp/

2018年8月26日 (日)

科学って何?④

北森ペット病院・北森です。当院ブログをご覧頂き、感謝いたします。



今日は、科学って何?・・・・の、その④です。



科学の基本は反証可能性と②で書きました。また、③で、反証するには、作法があると書きました。



今日は、それについて。



例えば『森北病』という恐ろしい病気があったとします。



この世にも恐ろしい森北病気に対して、K先生は、丸川マイシンが良く効くという発表をしました。これに対してT先生は、丸川マイシンはまったく効かないという発表をしました。



相反する発表ですが、実は、このような事態は、レベルの低い学会では、よくあることです



丸川ワクチンの会社と仲の良いK先生は、発病間もない軽症の症例に薬を使い、


反対に


丸川ワクチンのライバル会社が好きなT先生は、森北病で、今にも死にそうな重症な症例に薬を使ったとすると、

同じ疾患に対する同じ薬で、全く違う結果が出るのは当たり前ですよね。それどころか、軽症の患者はワクチンなしで勝手に直ったのかも知れず、重症の患者は、1週間前に飲んだらしっかり直ったかもしれませんし・・・・・。



このような恣意的な互いの反証行為を避けるために、今の医学における科学的な作法は、



① 病態をステージ化する

② 薬を処方する人(医師)も何を処方しているかわからない

③ 薬を飲む側も(患者、獣医療の場合は飼い主)何を飲んでいるかわからない



こういう状況を、作り出して、実際に、森北病のどのステージに、丸川ワクチンがどの程度効くか(効かないか)を調べます。



これを、ダブル・ブラインド試験と言います。




プロがデータを見るとき、この作法を守っていないものは、眉唾ですね。先回のブログの①~③にあたる報告では、必ずこの作法を守っています。



一般の方の場合は、例えば、●●に必ず効くとか、絶対に効くとかという文言がでたら、怪しいと思う気持ちが必要です。特に慢性疾患や、老齢期の疾患に対するサプリなんて怪しい限りですから。



絶対や、必ずには、反証ができません。科学じゃないということですね。



ある時、この話をすると、患者さんが、じゃあフィラリア予防薬も絶対じゃないの?って言ってきました。



私は、『そうですね、絶対ではない』 とお答えしました。



科学的には、薬に対するフィラリアの耐性獲得の問題も残ります。


ある犬では、ある有名なお薬が、消化されず便にゴロリと出てきました。


ある飼い主さんは、薬を飲ませていた完全室内飼いの犬がフィラリアにかかってしまい、私もおかしいと思って、よくよく観察させたら、その子、薬を飲んだ後、必ず飼い主のいない所で吐き出していることがわかりました。



絶対・・・・なんていい始めたら、思考停止ですからね。



つづく



北森ペット病院(千葉県茂原市)
http://kitamori.in.coocan.jp/

2018年8月24日 (金)

科学って何?③

北森ペット病院・北森です。当院ブログをご覧頂き、感謝いたします。



今日は、科学って何?・・・・の、その③です。




科学の基本は反証可能性と②で書きましたが、もう少し詳しくその辺りを述べます。




反証といっても、反証するには、作法があります。




それは、現代においては、症例を集めて、統計学を駆使して反証するするというものです。

一般的に、反証のその学術的な洗練さは、下記のような順になります(当然①が一番クオリティが高い)


① 学会の治療ガイドライン
② 大規模試験(二重盲検)
③ 高級学会誌の論文 (日本獣医学雑誌)
④ 普通の学会誌論文 (日本獣医師会雑誌)
⑤ 商業雑誌の論文
⑥ 学会発表のデータ



人医の場合は、①と②の間に、数多くの②に該当する試験を総合的に解析するメタアナリシスがありますが、まあ、獣医ではないです。


ちなみに⑥のデータなんて、(⑥どまりであれば) ゴミのような扱いで、我々プロは通常相手にしません。



このような手続き、段階を経て、反証が繰り返されて、科学は進歩して行きます。



つづく


北森ペット病院(千葉県茂原市)
http://kitamori.in.coocan.jp/

2018年8月22日 (水)

科学って何?②

北森ペット病院・北森です。当院ブログをご覧頂き、感謝いたします。



今日は、科学って何?・・・・の、その②です。



20世紀最大の科学哲学者のカール・ホパーは、『科学とは反証可能がある理論』だという定義を行いました。



私も、科学とは何?と聞かれると、ホパーの定義を引きます。




バリバリの科学の一つ、医学で言うと




例えば、風邪とインフルエンザ



私の子供のときは、風邪の強い症状をインフルエンザと言っていました。治療は抗生物質でしたね。



10年ほど前から、インフルエンザは風邪と違って、ウイルスが原因。なので抗生物質は効かず抗ウイルス薬での治療になりました。でもまだ風邪には抗生物質でしたね。



それが、最近、風邪もウイルスが原因なので、抗生物質は必要ない。

となりました。



まさにこれが科学(の進歩)です。



正しい理論があって、反証がされ、新しい理論に昇華する(原子核が陽子と中性子になって、クオークになって・・・と一緒ですね)。



でも、インフルエンザウイルスにかかっても発症しない人もいるし、発症して自分の免疫反応で脳炎になる人もいるし、まだだまだインフルエンザも解明されていません(クオークが何でできているのという「仮説と同じで)。



このように科学は、反証ができる余地があることが必須です。



カントが、人間は、永遠に物自体には触れられないと言うのと同義です。




なので、オカルト療法や似非科学というのは、見分けるのは非常に簡単なんですよね。



進歩がない、いかなる時も効果が無いというデータが提示されない、などなど、ね・・・。



なんども取り上げるのが馬鹿馬鹿しいですが



http://nichiju.lin.gr.jp/mag/06310/a4.pdf

nichiju.lin.gr.jp/mag/06310/a4.pdf



とかね。



ちなみに、科学の反証可能性という概念に、まっこうから対立するのが、宗教ですね。



神の存在は、反証しようが無いですからね。



つづく


北森ペット病院(千葉県茂原市)
http://kitamori.in.coocan.jp/

2018年8月20日 (月)

科学って何?①

北森ペット病院・北森です。当院ブログをご覧頂き、感謝いたします。



今日は、科学って何?・・・・の、その①です。



世の中、非科学的な、とんでも療法、オカルト療法が蔓延しています。



とっても憂いでいるわけですが、



そもそも科学ってなんでしょうか?



よく科学は、客観的な考えというイメージがありますが、実はその考えは結構怪しくて、例えば、虹は日本では7色ですが、欧米では6色、モンゴルでは3色・・・・・こんな単純な物でさえ、客観性は実は非常に文化的な側面があります。



カントは、物自体という表現を使って、人間は、永遠に物質の本質(客観)には到達できないといいました。例えば、目に見えるものを構成している物質は、原子ですが、原子は原子核と電子、原子核は陽子と中性子、陽子はクオーク・・・・・じゃあクオークは?永遠に続きますよね。


客観性もあいまい、本質にも到達できないのが、人間の実態ですね。



その中にあって、科学・・・・科学的な考えとはなんでしょうか?


つづく


北森ペット病院(千葉県茂原市)
http://kitamori.in.coocan.jp/

2018年8月18日 (土)

ザリガニとフィラリアの関係

北森ペット病院・北森です。当院ブログをご覧頂き、感謝いたします。



本日は、ザリガニとフィラリアの関係についてです。



?????かもしれませんが、



米国で、面白い報告がありました。

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/30079610



今、カリフォルニアで、ザリガニが増えて公衆衛生上の大問題となっているそうです。



ザリガニの増加で、蚊が媒介する、マラリア、ジカウイルス(妊婦が感染すると子供が小頭症になる)などの感染症が増える危険があるとレポートされています。



理由ですが、



ザリガニは、ヤゴを食べます。ヤゴは、ボウフラを食べますので、ザリガニが増えると、ボウフラが増えて、最終的に蚊が大量に発生します。



上記の感染症は蚊が媒介するので、ザリガニの増加が、それらの疾患を増やすのです。



蚊と言えば、獣医領域では、フィラリアですよね。



日本でも、トンボが少なくなりましたよね。



蚊の増加は実感はありませんが、生態系は微妙なバランスの上に成り立っているので、注意が必要ですね。



北森ペット病院(千葉県茂原市)
http://kitamori.in.coocan.jp/


2018年8月16日 (木)

製薬業界が獣医業界をダメにする③

北森ペット病院・北森です。当院ブログをご覧頂き、感謝いたします。



今日は、製薬業界が獣医業界をダメにする・・・その③(最後)です。



獣医業界では、近年、1回の投薬や注射で、効果が1ヶ月~数ヶ月持続する製剤が、沢山販売されています。



なかなか薬を飲ませられないからという理由や、その薬がもっとも治療効果があるという理由で、そのような超長期作用型の薬剤を利用するのならわかりますが、



不必要に、超長期作用型の薬なんて、非常に怖いです。



要するに、化学物質を、体内に残留させているわけですから。



その薬剤にアレルギーが出たら、どうするんですかね? 数ヶ月も苦しむのでしょうかね?



例えば、寄生虫分野


ノミ・ダニの薬ならば体内に入らないお薬、フィラリアの薬ならば24時間で体内から消失する薬、お腹の寄生虫ならば腸の中だけで効く薬が、それぞれ、あるではないですか。



これまでの治療が上手くいっているのに、どうして、たかだかそのような寄生虫対峙の為に、新しい超長期持続型の製剤をわざわざ使って、体内に化学物質を残留させる意味があるのか、私にはわかりません。



痛み止めにもそのような製剤がありますが・・・・・・



人間の医療では、今、何種類もの化合物が常に体内に存在する、ポリファーマシー(多剤治療)を見直そうとしています。



なんだか、逆行しているんですよね。



例えばですよ、皮膚に炎症があったとして、1回つけたら1ヶ月や数ヶ月、そこに留まる薬なんて、皆さん、つけられますか?



私は怖いですね。



もっと皆さんまじめにやろうよ~というのが私の想いですね。




北森ペット病院(千葉県茂原市)
http://kitamori.in.coocan.jp/

2018年8月14日 (火)

製薬業界が獣医業界をダメにする②

北森ペット病院・北森です。当院ブログをご覧頂き、感謝いたします。



今日は、製薬業界が獣医業界をダメにする・・・その②です。



例えば、アトピー分野



何物入りで、10年位前に流行ったアトピーの新薬・2種類。人間の方の薬から考えたら、一つはありえないくらい怖く、もう一つはメカニズム的に?のものでした。価格も、獣医皮膚科学会の推奨する標準薬の10倍くらいでしたね。



いや~、効かなかったですね。少なくとも費用対効果はひどかったです。私は一切自分からは使用しませんでしたが、あの時はほとんどの獣医が処方しましたね。



(効果が弱いことはなぜ報告されないのでしょうか?私は使用してないので報告できません)



そして10年たって、また同分野で新薬登場。前の新薬がひどかったから、新たに登場しました。



でもこの薬、メカニズムは斬新でしたが、ヒトで、同様のメカ二ズムの薬が、死亡事故起こしているの獣医の皆さん、知っていたのでしょうかね?



もっとも、この薬は、現在発売2年たって、私自身も調べて、ヒトと犬とでは、作用点が異なることがわかりましたので、私も、ようやく最近、飼い主に説明して私用する事も(ゴク稀に)あります。



詳しいことはこのページの⑨をお読みください。
http://kitamori.in.coocan.jp/dermatology.html#hifutop




もう一例



ある犬の心臓病をターゲットに、人間でまったく症状を改善しないどころか、悪化させる懸念がある薬が、ヒトで売れないものだから、犬の新薬として登場しました。



色々な研究を経て、どうやら犬では、ヒトと違い、ある状況で使用すると、効果を発揮することがわかりましたが、



私は、そもそも犬の50例程度の研究は信用しません(ヒトは1000~1万例です)。



その薬剤を、自分で納得いく論理を見つけて、使用するまで、5年程度を要しました。はじめは恐る恐るでした。尊敬する某心臓病の専門医も、同様だったと、最近聞きました(だって、人間では使用してはいけないのですから)。



当然ながら、その薬剤を使用してないからといって、当院にかかりつけている心臓病の犬が早死にするような不利益はありませんでした。だって、これまでの標準薬で、十分、生存(延長)効果はありましたからね。




新しい薬がでたら、製薬のMR(営業)に、よい情報だけ与えられて、すぐにその気になって使うという態度は、非常に危険です。



昨日の①でも書きましたが、研究(治験)データは、あくまで、その病気しか持っていない動物に対するデータです。臨床現場では、様々な背景の子がいます。



あまりに安易です。



クリティカル・シンキング(批判的考え)、クリティカル・リーディング(批判的なデータの読み方)が、多くの獣医には本当に本当に、欠如しています。



まあ、人間では効果がないと結論付けられている、なんちゃって細胞免疫療法を、業界のビックネームが学会で浮かれて報告するくらいですから、もう悲しくなりますね。



というわけで、これまで比較的うまく行っていた治療に、新薬なんぞ使う場合は、細心の注意と、論理が必要なわけです。



製薬会社に騙されるな! と強く言いたいです。



(元、製薬出身ですが・・・・とほほ)



つづく

北森ペット病院(千葉県茂原市)
http://kitamori.in.coocan.jp/

2018年8月13日 (月)

製薬業界が獣医業界をダメにする①

北森ペット病院・北森です。当院ブログをご覧頂き、感謝いたします。



今日は、製薬業界が獣医業界をダメにする・・・その①です。



私は、元製薬の研究者(人体薬の)でしたので、あまり言いたくはないのですが、それにしても、獣医師の薬に対する情報の欠如はひどいものがあります。



一般的に、獣医師は新薬にすぐに飛びつく傾向がありますが、



治療法がない分野であればまだしも、これまで比較的うまくコントロールできている疾患にも、なぜか新薬がはびこるのが業界の体質です。




たとえばアトピーに対する新薬は、アトピーしか持っていない子に対する調査(治験)を行い、効果があり、顕著な副作用が無ければ上市(販売)されます。



つまり、単一疾患に対する検討はしていますが、現場では、様々なバックグラウンドの症例があります。腎不全でアトピーとか、心臓病でアトピーとか。



新薬が販売されて、数年間、様々な症例に試され、副作用が無く、費用対効果がリーズナブルであれば、晴れて治療薬として王道を歩きます。



つまり、月に数例しか見ない症例に対して、新薬に飛びつくのは非常に危険なんですよね。




つづく


北森ペット病院(千葉県茂原市)
http://kitamori.in.coocan.jp/

2018年8月11日 (土)

コラムを書いています

北森ペット病院・北森です。当院ブログをご覧頂き、感謝いたします。



依頼され、わんにゃ365 でコラムを書いています。



こういう依頼コラムを読む際の注意すべき点は、字数が決められていることですね。



あまり長くなると、敬遠され読まれなくなるらしく、私もかなりカットされました。



よく、診察時に、あそこに●●と書いてあったなんて言われる方がいますが、そもそも我々は、情報という意味では、論文以外には興味がないので、



コラム書いている私が言うのも変ですが、



書いてあることを、そのまま信じるのではなく、プロがどういう思考をしているか、何を飼い主さんに伝えたいかという、大きな流れを読み取ってほしいと思います。




北森ペット病院(千葉県茂原市)
http://kitamori.in.coocan.jp/


2018年8月 9日 (木)

スポーツドリンクVS経口補水液(猛暑下脱水時 人の話)③

北森ペット病院・北森です。当院ブログをご覧頂き、感謝いたします。



今日は、猛暑下での脱水時の(ヒトの)、水分補給についての③(最後です)



猛暑下脱水時、スポーツドリンクVS経口補水液のどちらを摂取すべきか?という論文が紹介されていたので、それについての③です。


https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/29548770


アメリカ人というのは、徹底的に実験したがる民族で、この研究も



● 男性に、耐熱性の消防服を着せて、室温39度、湿度30%の部屋で、90分のウォーキングを2回させた後、スポーツドリンクと経口補水液の水分補給効果


を比較しています。



結論ですが、


● 水分補給効果に関しては、同じ。


● 血糖値は、若干、スポーツドリンクが高くなった。

でした。



というわけで、



● 暑い夏の熱中症対策は、どちらでも良い


● 暑い夏にスポーツする場合は、スポーツドリンクの方が少し良い

● アメリカ人って、徹底的に調べる民族



ってことがわかりました。



北森ペット病院(千葉県茂原市)
http://kitamori.in.coocan.jp/

2018年8月 7日 (火)

スポーツドリンクVS経口補水液(猛暑下脱水時 人の話)②

北森ペット病院・北森です。当院ブログをご覧頂き、感謝いたします。



今日は、猛暑下での脱水時の(ヒトの)、水分補給についての②



猛暑下脱水時、スポーツドリンクVS経口補水液のどちらを摂取すべきか?という論文が紹介されていたので、それについての②です。


https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/29548770



結論前に、皆さんは、この2つのドリンクですが、そもそも目的、成分が少し違うのご存知ですか?


成分的には、①で言ったように、両者ともNaとグルコースが十分量入っていますが、一般的に言って


Naは、経口補水液が、数倍(この論文は3倍)高い


グルコースは、スポーツドリンクの方が高い


カロリーは、スポーツドリンクの方が高い


のです。



そもそもの開発の経緯は、



・ スポーツドリンクは、まさにスポーツ時の発汗で失われた水分やNaを補う目的


・ 経口補水液は、急性の下痢の患者の、水分やNaを補う目的




での開発製品でしたが、どちらの製品とも、目的にあった使用は案外されていないとの事です。




つづく



北森ペット病院(千葉県茂原市)
http://kitamori.in.coocan.jp/

2018年8月 5日 (日)

スポーツドリンクVS経口補水液(猛暑下脱水時 人の話)①

北森ペット病院・北森です。当院ブログをご覧頂き、感謝いたします。


暑いですね。もう熱いと言ってもいいような状態ですね。


今日は、猛暑下でも脱水時の(ヒトの)、水分補給についてです。



猛暑下脱水時、スポーツドリンクVS経口補水液のどちらを摂取すべきか?という論文が紹介されていたので、それについて。


https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/29548770



論文紹介のその前に、今日は、まず、前知識を




 汗を書いた時は、水分と同時に、塩分(Na)が体から抜けるので、単なる水を飲むと、体の中のNaの濃度が更に薄まるので、とても危険です。



 体内では、水分とNaの動きは同じです。



 つまりNaが腸で吸収されるとき、水分も同時に体に吸収されます。これは逆に言うと、①のNaが薄まるのを避ける機講が体にあると言う事です。



 実際には、Na/グルコース共輸送型トランスポーター(SGLT)といって、腸内では、Naと糖分(グルコース)が吸収される時に、水分が体内に吸収されます。



 だから、スポーツドリンクや経口補水液には、Na、糖分(グルコース)が入っているのです。



水だけは沢山飲めないけど、ジュースは沢山飲めるのは、Naや糖分のおかげなんですね~。

⑥ といって、必要ない時に、これらを飲んでいると、ペットボトル症候群といって、糖尿病になります。だって、糖分の吸収も、最も良い状態の飲料水ですからね。

つづく



北森ペット病院(千葉県茂原市)
http://kitamori.in.coocan.jp/

2018年8月 3日 (金)

取材うける

北森ペット病院・北森です。当院ブログをご覧頂き、感謝いたします。


取材をうけました。


最近の獣医療の進歩についてです。


でも、結局は、反対の話になりました。



20年この業界にいますが、獣医学は、まったく進歩してませんからね。



獣医学は、ますます医学から取り残されてるし、真剣さがたりないし、最先端の理論を知らないし、似非科学がバッコしてるし。


例えば、


医学では、最先端の薬は低分子化合物から、生物製剤に代わっていっています。この進歩に、獣医学は、まったく追いつけてません。意味すらも分からない獣医師も多いです。



最新統計学に誰一人としてついていけていないので、データを読み込む能力が医師と比較して格段落ちます。医学と獣医学は、大学生と中学生の差はありますね。




昨年私の専門の循環器の関係の獣医学の本を某大学の教授が書いて出版なされましたが、医学でいうと30年前の間違いを平気で書いています。茫然ですね。




医学で言うと、法律違反になるような療法を、さも標準療法のように信じて実施する獣医師や学会が、相変わらず多いですね。



という話になり、取材している方も、顔いろ変わってましたね。



まあ、掲載されないでしょうね。



あ、進歩はしてないけど、進化はしてますよ。



進化って、科学的な前進ではなく、適応ですからね。ガラパゴスの動物だって進化ですからね。


心ある獣医師は、一生懸命この状況を変えようと、論文書いてます。金儲けのツールとして、宣伝に利用できる認定医(専門医はほぼ業界にはいませんから)を取る暇があったら、獣医学を変える努力をして欲しいものです。だって、その認定医のカリキュラム自体が怪しいんだから。




北森ペット病院(千葉県茂原市)
http://kitamori.in.coocan.jp/

2018年8月 1日 (水)

言葉を操るのは大変です

北森ペット病院・北森です。当院ブログをご覧頂き、感謝いたします。


今日は、言葉を操るのは大変・・・・という話をします。



インフォームドコンセントに失敗した話です。




ある眼の疾患で、来院したワンちゃん。

私 『この病気は治る病気ではないので、一生このお薬を点眼し続けて下さい』

飼い主 『わかりました』



2か
月後、飼い主が来院されて、目の症状が、すごく悪化してます。



私 
『お薬、取りに来られなかったですよね?一生治らないと伝えましたよね?』

飼い主 
『先生が、一生治らないって言ったけど、治ったからお薬、止めたんです』



しまったと思いましたね。



薬を付けたら治るけど、薬を止めたら、また悪化する・・・・・という意味で、一生治らないとちゃんと伝えるべきでしたね。



言葉って、とても恣意性があるから、一生治らないっていっても、捉え方が色々ありますよね。



注意はしてるんですけど、ね。




北森ペット病院(千葉県茂原市)
http://kitamori.in.coocan.jp/

« 2018年7月 | トップページ | 2018年9月 »