部位別がん生存率(人)
北森ペット病院・北森です。当院ブログをご覧頂き、感謝いたします。
国立がんセンターが、国内拠点病院における部位別のがん生存率(3年)の最新版を公表しましたね。
https://www.ncc.go.jp/jp/information/pr_release/2018/0912/index.html
実測生存率(ガンによる死亡以外の全死亡を含めた生存率)と、相対生存率(ガンによる死亡)を、部位別に報告しています。
数十万人のデータですから、まさにインフォームに使えますね。
このようなデータを見ると、いつも思うのですが、
犬猫は、平均13~15年しか寿命がありません。
犬猫の1年は人の5~7年に相当すると言います。
となると、人で言う3年生存率は、犬猫の数ヶ月生存率です。
ガンの治療を考えたとき、
手術の場合は、部位によっては比較的、体への負担も少なく、また根治できるかもしれませんので、必要に応じてぜひトライする治療だと思います。
しかし、制癌剤を用いた化学療法は、完治しませんし、それどころかQOLを下げる危険性があり、また非常に高額になる場合があります。
比較的、制癌剤が効果を発揮しやすい犬のある種のリンパ腫でさえ、平均1年の延命効果ですから、
やはり一般的なガンに対する化学療法は、よくて数ヶ月程度の延命のような感触があります。ネコは、特にそうですね。
(逆に言えば、犬猫で数ヶ月の延命は、ヒトの数年・・・・・とも言えるのですが・・・・・・)
なにが言いたいのかと言うと
飼い主に、制癌剤の明確な効果を示すデータが、ほとんど無いということなのです(数ヶ月差をデータで示すのはかなり難しいからです)。
(それは、更に極端な事例でイメージしていただければ良いのですが、僅か2年程度の寿命のハムスターで、制癌剤の延命効果を調べるのがほぼ無理なのと同じ理屈です。)
・寿命が短いので、制癌剤の差が出にくい(明確なデータが提示できない場合がある)
・QOLを下げる可能性がある
・非常に高額になる可能性がある
このような理由から、犬猫のガンの治療・・・特に化学療法・・・・に関しては、人間のようにはいかないと認識してください。
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