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北森ペット病院

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2018年10月17日 (水)

ひとは常に合理的な判断はしない(怒られた実例)

北森ペット病院・北森です。当院ブログをご覧頂き、感謝いたします。



人は、常に合理的な判断はしない! の実例です。



4年前、孤立性の皮膚型リンパ腫(T細胞型)になった犬の話。



孤立性なので、外科的切除が適応で、手術は、パーフェクトでした。



さて、その後、抗がん剤は効かないので、癌の治療自体は終了する旨を伝えました。



抗ガン剤の治療は、体に負担のかかる薬剤を投薬するわけですから、メリットとデメリットを考えて、選択しなくてはいけません。



その、もっとも分かりやすい指標は、生存率の改善です。



当時、世界の文献を調べても有効な抗がん剤はなく、念のため、国内の専門医((アジアに5人しかいません)の後輩に聞いてみても、やはり、抗がん剤の必要ないとの意見でした。



それを伝えたのですが、



この方は、怒って転院されました。



どうやら、癌の認定医(専門医より格下。沢山います。)がいる病院に電話をかけて、まだできることはある・・・・と言われたそうで、



えらい剣幕で怒られました。




は~でしたね(笑)。




実はこれ、良くある光景なんですよね。



行動経済学的にいえば、

飼い主側は、損失回避行動と、利用可能性ヒューリスティック



獣医師側は、プロ故のバイアス行動(成功体験や、男性医師のリスク選好志向)



です。



(飼い主側)

人は、恐怖や死を意識したときに、1%でも健康を維持できるとしたら、大きな損失があったとしてもその選択肢を選ぶ傾向があります。これを損失回避行動といって、リスク愛好家になる瞬間です(要するに、ほぼ意味がなくても、わらをつかむ行動)。



また、人は、身近な情報や、自分で手に入れた情報(先生からではなく、自分で先生を見つけて聞いた情報)に、より真実味を感じます(利用可能性ヒューリスティック)。



本来は、データをもとにしてしっかりと選択すべき場面ですが、こうなっては、私ども、もどうすることもできません。



セカンドオピニオンを考えた時に、主治医を通して専門医に紹介する。専門医・・・ここでは認定医の説明を、主治医が噛み砕いて飼い主に説明するながれですが、



この場合は、セカンドオピニオンではなくて、転院です。結局、怒られて終わったわけです。




ちなみに、医療者側のバイアス行動は、有名な2つの研究があって



・より専門医の方が、効果が少ない療法でも推奨する傾向がある

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/24921911



・癌の治療は、ガイドライン逸脱が45%

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/12826639

ようするに、飼い主も、獣医師側も、常に合理的な判断をするわけではないということですね。




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