新薬について
北森ペット病院・北森です。当院ブログをご覧頂き、感謝いたします。
今日は、新薬についてのお話です。
私は、元製薬会社の人間ですが、それ故なのか、『新薬』に対して、普通の獣医師とは違った見方をします。
医療とは、科学ですから、どの病院へ行っても、基本的な戦略は大きく変わらないのが良いのですが、
こと新薬に対する当院の基本戦略は、他病院とは違います。
新薬も2つパターンがあって、何も治療薬がない分野での画期的な新薬と、治療薬が存在するのに新たに出た新薬です。
治療薬がない分野の新薬は、光明ですから、当然、直ちに使用しますが、問題は後者です。
新薬の治験(臨床実験)は、一般的に、新薬がターゲットとする疾患以外を有していない比較的若い動物で行います。
つまり、我々にくる新薬の副作用データは、非常に限られた母集団でのデータです。
しかし、実際の診察の現場では、老齢であったり、さまざまな疾患が複雑に絡み合った病態がほとんどです。
治験上(臨床研究上)、予想もされなかった副作用が出る危険性がとても高いのです。
ですから、当院では、後者の新薬の場合は、販売後1~2年たって(他病院での副作用報告を見ながら)、使用を考えます。
よく、すでに海外では数年前に出ているから、副作用情報も分かっているだろう・・・・・なんてのんきな獣医や製薬の営業がいますが、
海外の、特に犬は、日本の犬よりも大型なので、まったくデータを同一視できません。
あれほど私が学会で警告したのに、20年前に、フィラリアの某薬が販売され、直後に死亡事故が多発しましたね。
新薬に飛びつく獣医には、本当に注意ですね。
北森ペット病院(千葉県茂原市):PC用
http://kitamori.in.coocan.jp/
北森ペット病院(千葉県茂原市):スマホ用
https://www.kitamori-ac.com/
« ブリーダー・ペットショップ | トップページ | どのスポーツが最も寿命を延ばすか »
「獣医療・インフォームドコンセント」カテゴリの記事
- やっぱりドロップ(再生医療)(2024.08.16)
- 昔とは違うね~その②(2024.07.24)
- 昔とは違うね~(2024.07.24)
- 久々にHPに大きな項目を作りました(2024.01.12)
- 最先端の道はつらいな(2023.12.17)