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北森ペット病院


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2018年10月10日 (水)

インフォームドコンセントって難しい②(存在論と認識論)

北森ペット病院・北森です。当院ブログをご覧頂き、感謝いたします。



今日は、インフォームドコンセントについての話、その②です。



存在論と認識論について。



フィラリア感染症という怖い有名な病気がありますね。蚊が吸血するときに、犬にフィラリアという寄生虫を感染させ、感染したフィラリアは犬の心臓に寄生して発育、生殖します。治療しなければ、数年後、犬は、心不全、多臓器不全で死亡します。



都会ではあまり見なくなりましたが、当院ではまだ数年に1回出会います。




さて、このフィラリア症の治療ですが、今は、お薬でフィラリアを退治していきます。

一般的には、生きた成虫・子虫がいなくなり、元気があれば、それをもって治ったと表現することが多いと思います。



しかし、実は、胸のレントゲンを撮ると、肺に影が残っていたりします。死亡したフィラリアが詰まったり、フィラリア症の血栓塞栓がその原因だと思われますが、



恐ろしいことに、フィラリア症の完全なる治癒は、いったいどのような事を指すのか、だれもわかりません。論文上も、CT、レントゲンで継続的に肺の障害を追った報告は皆無です。




繰り返しますが、一般的には、虫がいなくなって、元気であれば、治ったと表現することが多いです。




存在論的に言えば、虫はいなくなっても、肺野の異常が残るので、(心エコーが得意な先生であれば、更に肺性高血圧を調べるかもしれません)、まだ病気はあります。



しかし

認識論的に言えば、虫はいなくなって、肺野の異常が残っても、元気であれば、フィラリア症は存在しません。

認識論ということは、獣医師が認識するわけですから、獣医師によって、差が出るということですね。

病気がある、病気が治るとはなんでしょうか?





つづく



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