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北森ペット病院


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2019年2月19日 (火)

厳密科学と哲学 遺伝子検査

北森ペット病院・北森です。当院ブログをご覧頂き、感謝いたします。



厳密科学と哲学 (遺伝子検査)



科学は厳密になるほど、哲学的になるというのが持論です。分野の違いはあれど、最先端テクノロジーを追求していると、哲学的思考にならざるをえないと考えます。



時間とはあるのかないのか。物質の最小単位は何か・・。厳密科学のKing、物理学なんて、私からみたらもう数世紀前から哲学的というより、哲学ですね。



流行で言えば、AIもそうですね。誰も、単なるテクノロジーとしては捉えていませんね。人間存在自体を脅かすかもしれないのですから。



厳密科学が、なぜ哲学的になるのか?



それは、科学が厳密になればなるほど目には見えず、数学的概念になるからです。



さて、(獣)医学でいえば、遺伝学が先端です。

獣医学では、今、眼科や神経科を中心に、先天性疾患の遺伝子を排除する試みが一部のブリーダーを中心に起こっています。ブリードする前に、遺伝子検査をして、当該遺伝子のキャリアをブリードから外すという試みです。




そのこと自体・・・・・検査をするかしないか・・・・・・は、今のところ、私は価値中立的です。




さて、もし、検査をした場合ですが




この先、様々な疾患の遺伝子が見つかり、まあ、どの程度発現するかわからないガン遺伝子が多数検査可能となった時、



クリーンな遺伝子だけももつ犬・・・・・正確に言うと犬種・・・・・なんて存在するのか疑問になります。



純粋犬種は、どの項目(疾患)かに、必ずひっかかる・・・・・と言うことになるかもしれません。



また、キャバリアにほぼ発生するある心臓病ですが、これは、遺伝子の特定が非常に難しいことが、医学で言われているので、おそらく獣医学のキャバリアでも遺伝子特定は困難でしょう。



そうすると、とてもおかしいことになりますね。



明らかに現象論的に、遺伝であろう心臓疾患が多発するキャバリアのブリードは、遺伝子が特定されないから目をつむり、現象論的にはよくわからないけど、将来発症するかもしれない遺伝子をもつ個体を、ブリードから外す作業ということになります。



人の場合は、更に問題は哲学的です。



両親共に、辛い疾患を発症するような遺伝子異常があった場合、子供を作る倫理はどうなるのか・・・・・ということになりますね。



20世紀のあだ花・優生学にもつながるので、難しい問題です。




デカルトの前の時代、まだ心身2元論がなかった昔、外科手術は、魂の一部が削られるというので忌避されたようです。医学の発達も、時代時代で哲学的思考がアクセルやブレーキになって来たのですね。




では、遺伝学をどう扱うかですが、個人個人が、哲学的になるしかありませんね。




私たちは、文化や慣習や複雑な行動規範をもつ生物です。科学的な正しさこそが正しいという態度は、とても愚鈍で自己中心的だと思います。




考えて、話あって、微調整しながら、次の時代に託すしかありませんね。





(私は遺伝子の話になると、なぜか車の法定速度のことをイメージします。絶対に法定速度を30km/h 程度に落とすと死亡事故は確実に減りますよね。でも、しないわけです。文化とはそういうものですね)





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