専門医・認定医制度って、本当に専門性を担保してる?
北森ペット病院・北森です。当院ブログをご覧頂き、感謝いたします。
専門医・認定医制度って、本当に専門性を担保してるの? かについてのお話。
業界では、皮膚科に始まり、眼科、腫瘍科など多くの専門医、認定医が存在します。専門医と認定医の違いは、今回の話には本質的に関係ないので、ここでは、ひとくくりに、専門医と表現します。
さて、先だって、某研究会に出た時の話、
某有名専門医が、●●の症例は、××治療が効くんだけど、この子のように効かない場合もあるから注意しましょう。
なんて、おっしゃる。
すかざす、
『その事、ケースレポート(論文報告)しました?』 と聞いたけど、
ごにょごにょ。
一般医に得意げに言うのは簡単だけど、広く公言するのは怖いのね。一般医が、同様な事を言っても洒落ですむけど、専門医がそんな態度じゃ、世も末だよね。
エビデンスは、エビデンスで乗り越えなきゃ~。
さて、獣医の専門医制度は、日本の医師の世界をまねて導入している制度です。そして、その日本の医師も、米国の医師の制度を真似しています。
しかし、米国の医師の専門医制度と、日本のそれが決定的に違うことがあります。
それは、専門医を認定する機関です。
日本の医師の専門医は、所属学会が認定します。米国では、独立機関が認定します。当然、日本の医師の世界を真似している我が獣医の世界も、所属学会が認定します。
日本では、所属学会の学術大会に参加して、所属学会の主催する講義を聴講して、試験を受けて資格を得るわけですが、ある高名な医師の話ですと(後述)、日本の医師の専門医制度は、多分に学会活動の、ご褒美的な色合いが、時にあるそうです。
まあ、がんばってるね! みたいな感覚なんでしょうね。
む~、医師の世界でさえそうなんだから、獣医の世界なんてね・・・・。
米国では、前記のように、学会にコントロールされない機関が、専門医を認定している上に、
このような論文も出されて、学会と、専門医認定機関が、互いにけん制し合っています。
専門医を認定する機関の試験が、どの程度、実際の臨床ケースとあっているかのデータ解析の論文です。
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/28609535
米国の医師のようにはいかないとは思いますが、
今の獣医業界の学会が主催する専門医制度は、本当に機能しているんでしょうかね?また、学会が生み出す専門医の質をどうやって担保するのでしょうか。先に挙げた事例を見ても、結構悲惨だと思います。みんな同じ状況で、同じ間違いをする専門医を量産しているとしたら、悲しいね。
私は、専門医ではなく、専門家を目指しているので、制度自体はどうでもいいのですが。
(今回の米国の専門医制度の話など、敬愛する神戸大学医学部感染症の岩田健太郎先生のコラムを参考にしました。岩田先生の数々のお話、書物は、私に、私自身の至らなさを気がつかせてくれると同時に、勇気を与えてくれます。医師にはこのような思想家的な臨床医が居るがすごいし、うらやましいですね。)
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ここでコラム書いてます
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