誤診②
北森ペット病院・北森です。当院ブログをご覧頂き、感謝いたします。
というわけで、どういう原理で誤診が起こるのか、興味深い問題です。
誤診の②。
私の現在の考え方は、世界の把握は、
(1) 五感で時間軸にそって主観的に状況を把握し(感性)
(2) (1)で得た情報を主観的に法則を与えて病状を確認し(知性)
(3) (2)の病状を、客観的なデータとすり合わせて診断する(理性)
だと思います。
で、おそらく(1)~(3)のどの段階でも、誤診におちいる罠はあります。
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今回は(1)について
目が見えないと皮膚炎の場所もわかりませんし、鼻が効かないと腎不全の口臭もみつかりません。そういう意味では、五感は当たり前ですが必須のもの。体調が悪ければ、五感は研ぎ澄まされませんので、獣医師の体調管理はとても重要ですね。
さて、五感を利用した状況の把握には、時間軸も重要です。
尿が赤い・・・・・血尿ですが・・・・・・・赤い尿が頻回あるのと(例えば膀胱炎)、1回だけではでは、同じ血尿でも状況はまったく違います。1回の方が実は怖いのですが(例えば溶血性貧血)、膀胱炎を繰り返す犬の飼い主が、実は血尿は1回だけなのに(膀胱炎ではないのに)、また膀胱炎になっちゃった・・・なんて言うと・・・・。
獣医師も、飼い主も、この時間軸というのがくせもの・・・・・というのは、考えすぎるほど考えなくてはいけませんね。
最近あった、誤診
おう吐の犬、元気ない・・・・・・(1)→(2)→(3)に進んで、急性の胃腸炎と判断(最近、急激な暑さでおおいです)・・・・・・それで対処・・・・・一時的に良くなりましたが、
なんと翌日夜、前庭疾患・・・・・・・めまい(眼球しんとう)、首の傾きで、立てない、おう吐で・・・・まあ、ひどい。
それは飼い主ビビりますよね~。
すっかり、胃腸炎と診断して処方した薬のせいにされるわけですね。
感性が、時間軸で把握できなった状況が誤診をうみ、飼い主の無知が誤解をうみ、散々ですね。
というわけで、診断の第一段階の
(1) 五感で時間軸にそって主観的に状況を把握し(感性)
では、獣医師の体調、時間軸、飼い主の発言・・・・などに、誤診の罠がありますね。
とほほ
つづく
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