熱中症
北森ペット病院・北森です。当院ブログをご覧頂き、感謝いたします。
たまには、まじめに獣医学の事など・・・・・・というわけで、熱中症です。
犬は、体温41℃を超えると、いわゆる熱中症になり、意識がなくなります。生存率は50%です。
犬側のリスク群は、15kg以上の犬、肥満犬、ラブラドールなどです。
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/29435477
下記動画は、当院の症例です(同意を得て掲載)。
18kgの犬、体温42.5℃、意識はありませんでした。処置により回復しましたが、あぶなかったですね。異常な呼吸の速さが特徴です。
最新の人の論文を取り寄せて読むと
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/31216400
人は、
・ 熱失神(heat syncope):
立ちくらみ、失神。体温は正常。
・熱痙攣(heat cramp):
筋痙攣、こむら返り。体温は38℃以下
・熱疲労(heat exhaustion):
嘔吐、頭痛、めまい。直腸温39℃以下
・ 熱射病・日射病(heat stroke):
痙攣、昏睡。体温40℃以上。
と、進行性なんですね。
犬は、脳の熱に対する防御作用があるらしく、体温も元々高く、興奮ですぐに40℃を超えます。それゆえか、上記のヒトような細かい病態分類はなく、41℃以上を熱中症と考えます。今回、あらためて論文を調べましたが、イヌでわずかに、heat exhausitonという表現はありましたが、基本的には、heatstroke(heat stroke) in dogs です。
ただ、最近、急な嘔吐、急な一時的な発作・・・・てんかんと、とりあえず診断するような・・・・・がとても多く、もしかしたら、細かいステージが犬にもあるのかもしれません。
ちなみに熱中症の英名heat strokeのstrokeは、単独では脳卒中の意味ですから、いかに、熱中症が命に関わるかわかりますよね。
当院youtube (世界に発信しています。全て飼主の同意は得ています。世界初の動画も有?)
https://www.youtube.com/channel/UC9qDMRC15D_O2tdFiUbnr2A
ここでコラム書いてます
https://wannya365.jp/writer/detail/11
北森ペット病院(千葉県茂原市)
https://www.kitamori-ac.com/
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