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北森ペット病院


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2019年8月 8日 (木)

熱中症

北森ペット病院・北森です。当院ブログをご覧頂き、感謝いたします。


たまには、まじめに獣医学の事など・・・・・・というわけで、熱中症です。



犬は、体温41℃を超えると、いわゆる熱中症になり、意識がなくなります。生存率は50%です。


犬側のリスク群は、15kg以上の犬、肥満犬、ラブラドールなどです。


https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/29435477




下記動画は、当院の症例です(同意を得て掲載)。


18kgの犬、体温42.5℃、意識はありませんでした。処置により回復しましたが、あぶなかったですね。異常な呼吸の速さが特徴です。





最新の人の論文を取り寄せて読むと

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/31216400




人は、

・ 熱失神(heat syncope):
立ちくらみ、失神。体温は正常。

・熱痙攣(heat cramp):
筋痙攣、こむら返り。体温は38℃以下


・熱疲労(heat exhaustion):
嘔吐、頭痛、めまい。直腸温39℃以下


・ 熱射病・日射病(heat stroke):
痙攣、昏睡。体温40℃以上。


と、進行性なんですね。



犬は、脳の熱に対する防御作用があるらしく、体温も元々高く、興奮ですぐに40℃を超えます。それゆえか、上記のヒトような細かい病態分類はなく、41℃以上を熱中症と考えます。今回、あらためて論文を調べましたが、イヌでわずかに、heat exhausitonという表現はありましたが、基本的には、heatstroke(heat stroke) in dogs です。



ただ、最近、急な嘔吐、急な一時的な発作・・・・てんかんと、とりあえず診断するような・・・・・がとても多く、もしかしたら、細かいステージが犬にもあるのかもしれません。



ちなみに熱中症の英名heat strokeのstrokeは、単独では脳卒中の意味ですから、いかに、熱中症が命に関わるかわかりますよね。




 

当院youtube (世界に発信しています。全て飼主の同意は得ています。世界初の動画も有?)
https://www.youtube.com/channel/UC9qDMRC15D_O2tdFiUbnr2A


ここでコラム書いてます
https://wannya365.jp/writer/detail/11


北森ペット病院(千葉県茂原市)
https://www.kitamori-ac.com/

 

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