無料ブログはココログ

北森ペット病院


« 誤診③ | トップページ | 誤診⑤ »

2019年8月12日 (月)

誤診④

北森ペット病院・北森です。当院ブログをご覧頂き、感謝いたします。


というわけで、どういう原理で誤診が起こるのか、興味深い問題です。


誤診の④。


②で感性について書きました。③で知性について書きました。



今回は、最後の理性についてです。



理性は、感性と知性で得た現象の理解を・・・・病態の把握を・・・・・・経験則にもとずき、疾患名にする力です。



経験則には、自身の経験則と、現在の最先端の経験則があります。



理性が誤診を引き起こすパターンの①は、



この自身の経験則と、最先端の経験則の乖離です。



獣医師本人は、誤診なんてしてる気はさらさらありません。全科診療の獣医療のフロントラインでは、全ての事がらに精通するのは事実上不可能です。誤診のよくあるパターンですね。これは、どの獣医も同じですね。しょうがないです。人間の限界です。




理性が誤診を引き起こすパターンの②は、


意外に思われるかもしれませんが、目に見える、単純な病態でおこります。目に見えるというのは、飼い主でも感性で同じように拾える病態であり、単純というのは、知性の項で述べた、眼に見えないものでコードできない病態という事です。



例えば、そうですね・・・・下痢、咳、皮膚炎などですね。


目で見えるので、感性で何が起こっているのか、飼い主でもわかります。わかるというのは、飼い主と、獣医師の言葉も同じということです。


単純なので、病態を目に見えないものでコードできず、知性レベルで、飼い主と獣医が同じものを見ることになります。


コードがないということは、経験則らしい経験則はなく、ただ同じような病態が見られる疾患が確率論的に様々存在するということです。


この場合、獣医は、時間をかけ、可能性のある疾患に効くであろう薬剤を道具として順番に使っていき、効果の有る無しから、後付で疾患名に迫ります。


わかります?


何の病気か分からないのに、薬を使うのです。



治療を進めながら、後づけで、疾患名を決めていく作業です。良くあるんですよ~。診断的治療といいます。



でも、


飼い主にとっては、数週間も、何やってるの?



で、転院先で、



転院先の獣医師は、フムフム、ここまでこれをやって治らないなら、次これかな? 



おおお、治った!



先生、素敵、名医! 



俗に言う、後医は名医と言うやつですね。



つまり、全ての獣医師は、名医であり、誤診するヤブにもなっているわけですね。そんな現状、googleのなんちゃって評価欄をみればわかりますよね。


さて、理性ですが、


理性って不思議で、理性は自身の考えに強い原理を与える存在であり、しかし、逆に、その原理をも批判できる存在です。



もし、理性の面で、良い獣医師になれるとすると、



俺、もしかしたら間違ってる?・・・・・・この病態の最先端の情報はどこにある・・・・と立ち止まる、そういった自己批判の強い理性を有する獣医ですね。



奴隷の時代は、奴隷は普通で、奴隷は奴隷なりに奴隷の生活を普通にしていたわけで、でもそのうち、奴隷にも人権をって話になって、今では、当然、奴隷自体がおかしいです。



奴隷の時代に、奴隷にも人権をという理性をもてる獣医であり、奴隷にも人権をという時代に、奴隷なんかおかしくない?って思える理性をもてる獣医ですね。



つづく



当院youtube (世界に発信しています。全て飼主の同意は得ています。世界初の動画も有?)
https://www.youtube.com/channel/UC9qDMRC15D_O2tdFiUbnr2A


ここでコラム書いてます
https://wannya365.jp/writer/detail/11


北森ペット病院(千葉県茂原市)
https://www.kitamori-ac.com/

« 誤診③ | トップページ | 誤診⑤ »

獣医療・インフォームドコンセント」カテゴリの記事