誤診⑤
北森ペット病院・北森です。当院ブログをご覧頂き、感謝いたします。
誤診について書いてきました。
その最後⑤です。
しょせん人間は、現象を100%理解することはできません。それは、人間の世界の理解の仕方、それ自体に構造化されているからです。
病気①の原因はA、Aが起こる原因はB、Bが起こる原因はC・・Cの原因は・・・・・・D・・E・・F・永遠に続くからです。原因が明確と思われる人のインフルエンザでさえ・・・・・・感染する人としない人、感染しても発症する人としない人、発症してもすぐに治る人と脳炎になる人・・・・その違いはなんでしょうか?
私たちはインフルエンザでさえ、全てを理解できません。
インフルエンザは検査キットがあるではないかと言われる方もいますが、インフルエンザと同時に、なにか他のウイルスに感染しているかもしれませんし(それが個体差になって出ているのかもしれませんし)、検査キットの精度も100%ではありません(これは良く知られた事実ですね)。
繰り返しますが、私たちは単純な外因論で片づけられるようなインフルエンザでさえ、全てを理解できません。
さて、現象の把握は、感性、知性、理性と書いてきました。
そして、その過程の全てに誤診の種が潜んでいることも書いてきました。
どう考えても、誤診はなくせませんが、誤診を見つけることはできます。
それは、時間軸が感性で捉えられる何か新しいものを発生させた故かもしれませんし、理性による経験則の変更かもしれませんし、転院による後医の感性、知性、理性かもしれません。
診察とは何かと考えるとき、
それは、『これは●●病です』ではなく、『これは●●病であろうと思われる』であり
治療とは何かと考えるとき、
それは、『××をすれば治る』ではなく、『××をしないと治らない』です。
人間による世界の理解は、そんなものだと思います。
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ここでコラム書いてます
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