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北森ペット病院


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2019年8月11日 (日)

誤診③

北森ペット病院・北森です。当院ブログをご覧頂き、感謝いたします。


というわけで、どういう原理で誤診が起こるのか、興味深い問題です。


誤診の③。


②で感性について書きました。


③では、知性に関する誤診の原因について。


あたりまえですが、知性があったほうが、誤診は少なくなります。


知性とは、規則にのっとって、主観的に、現象を原因(病名)に向かって統一する能力です。規則とは、量、質、関係性などのカテゴリーに現象をはめ込む作業ですね。


知性のブラッシュアップ・・・・・重要ですね・・・・ただね、200年前の医師は、それでだけでよかったのかもしれません。知性は、個人にのみに内包されるものでしたから。


しかし今は、例えば、最高の知性をもってしても、レントゲン写真1枚にも、かないません。


知性は、機器にはかないません。


科学が厳密になればなるほど、現象は、一般的には感性で実感されるものから、感性では実感されない・・・・見えないものでコードされていきます。


体重が重いというのは実感できますが、ここに質量と言う目に見えないものでコードすることが、厳密科学の萌芽です。客観の誕生ですね。


客観・・・・それを可能にするのが機器です。感性で、主観的に目が痛いのでは?と判断しても、客観的に眼圧が測れなければ緑内障とは診断できませんし、咳をして主観的に胸が悪いのではと思っても、客観的なレントゲン検査がなければ、肺で何がおこっているのかはわかりませんね。



個人の知性もさることながら、個人の外部に多くの知性の集合体である医療機器を配置し、いかに自身の知性を主観から客観へ向かって拡張するかが肝ですね。客観へ拡張と書きましたが、機器は知性の集合体ですから、結局、自身の知性と、他者の知性の融合ですね。



つまり、医療機器が少ないと、原理的には誤診は増えます(というか、誤診を避ける為に、人間には見えないものでコードする医療機械が誕生しました)



さて、悲しいことに、この知性が関与する誤診は、飼い主には気がつかれない事も、多々あります。



例えば


まだ、獣医療に、エコーがまだ発達していなかった20年前


イヌで、突然黄疸が出て、はきまくって、ぐったりして、数日で死亡する症例がよくありました。


血液検査はおこなえたので、検査すると、当然、黄疸ですから、肝臓の数字が非常に悪いわけです。


当時は、肝臓が悪い・・・・・先生によっては肝炎とか、肝臓がんとか、まあ色々ね・・・・・と言って、それで、納得の医療でしたね。



なんかおかしい?一部の獣医は思っていましたがね・・・・(コレは明日以降の理性の判断)。



今、当時を振り返って、肝臓が悪いと言ってあきらめた症例の半分程度は、実は、エコー診断で救われたな~と思います(ようは誤診だったんですね)。




また、飼い主と、主治医の関係性の中で、知性が関与する誤診は見逃されます。



高度な、様々な医療機器を使用せずに、それなりにある病名にたどりつき(20年前の肝炎のように)、それで納得する獣医師の元には、それで納得する飼い主が基本あつまります。


昔のように、黄疸が出て、肝臓の数値が悪くて、死亡・・・・肝臓ガンか、肝炎だね~。


聴診して、雑音があって、心臓が悪い・・・・・これは、僧坊弁閉鎖不全症と言ってね・・・・・。



それで、互いに納得できれば、それはOKですね。



知性が関与する誤診は、意外と気がつかれない事も多いです。そして、誤診している本人も案外真剣に誤診しています。


(と、書いていても、私も誤診してますよ。だから、誤診の原理を考えるわけです。名医じゃないので、ね。そうそう、ちなみに、名医の定義は、狭い、狭い、得意分野しかしない医師ね。間違いようがないからね。なりたかないですね。)


つづく


当院youtube (世界に発信しています。全て飼主の同意は得ています。世界初の動画も有?)
https://www.youtube.com/channel/UC9qDMRC15D_O2tdFiUbnr2A


ここでコラム書いてます
https://wannya365.jp/writer/detail/11


北森ペット病院(千葉県茂原市)
https://www.kitamori-ac.com/

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コメント

本日は、突然の猫の怪我で、大変お世話になりました。
始めての怪我だったので、私自身がパニックに陥り、「五感で時間軸にそって主観的に状況を把握」することを怠たり、混乱した私のいい加減な説明で、先生は対応に苦慮されたかと思います。
次回はこのようなことがないよう、冷静に対処できるよう努力致します。(性格上、難しいかもしれませんが・・トホホ)
お忙しい中、本当にありがとうございました。

プーチンは、拾った時、栄養不良で、手のひらサイズの子猫でした。ご近所の獣医さんも「今晩、もたないかもしれない」と言われたくらい、小さくやせ細っていました。そんなこともあって、「手段を選ばなくてもいいから、たくましく生きて欲しい」という願いこめて、ウラジーミル・プーチン大統領から名前を拝借し、ぷーちんと名付けました。
おかげで、8キロまで成長してしまいました。
本日、ご指導頂きました通り、ダイエットに努力致します。

グラスノスチ、大変興味深いブログでした。
奥の深い医療に出会えて、ぷーちんは大変ラッキーでした。

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