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北森ペット病院


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2023年3月

2023年3月31日 (金)

誤診ね・・誤診・・

臨床現場では、

しばしば誤診があります。


私もありますし、あなたの信頼している、先生も、絶対にしています。



例えば、


いったい、痛いのか・気持ち悪いのか、気になるのか・痒いのか・・・・さえわからない状況で


高額な検査のオーダーも気が引ける場合、


薬の反応を見ながら、


初見の見立てが正しいかどうかを

数日後に判断する

なんて流れはショッチュウで、



そこで、薬が効いていなければ、初見の見立ては間違い・・・誤診・・・となる


誤診はしばしば・・・というわけです。


さて、誤診を完全に無くすことはできないですが、


誤診を、なんとか早めにリカバリーすることは、重要です。


でも、

それにはそういう、リカバリーできるようなシステムがなければ、なかなか難しいです。


システム・・・

やはり、ヒト中心なのかな・・・・。

たとえば

治療するも、1か月も、症状に変化がない場合


院内で、担当の先生を変えてもらう

転院して他の先生に別の視点から診てもらう


のが、良いのかね


獣医師が治すというより、獣医師達で治すという視点ね・・・



ただし、

元々の先生と、後の先生の思考が、有機的につながっていないと大変で、後の先生が、前の先生の医療行為を否定するような場合は、上手くいかないことが多いですね・・・・獣医業界あるあるですね・・・効果のなかった検査や治療も、病気を見極めるうえでのルールアウトとして重要なわけで、そのあたりに考えが及ばない獣医師にバトンタッチすると、


ほんと悲惨です。


医療の世界は、単科診療と、保険医療が基本なので、よほどのおかしな先生に当たらなければ、日本中どこに通院しても、標準医療が受けられるし、医師間で有機的な思考のつながりがあるように思います。


それに対して


獣医療は・・・。


経験主義と、俺様主義がいまだにバッコしている世界


誤診をリカバリーできるシステム・・


どうしたらよいんでしょうね?









2023年3月24日 (金)

WBC

WBC、よかったですね。

今は、まったくしませんが、子供の頃は野球少年だったので、

(ピート・ローズ・・:・ね)

感慨深いものがありました。


(しっかり録画しました)


ただ、スポーツエリートの活躍を、私のような一般人の人生の落とし込むことはやはり不可能ですね(14年前のイチローの活躍も、私の心の中では風化してましたね)。


私の場合は、

あらゆるステージで

人生を変えたのは、

スポーツよりも音楽でしたね。


まあ、それは良いとして


あのスポーツエリートのスランプってやつは、何でしょうか?


スーパースターでも、できることが、できないという謎・・・・


その辺の医学生理学的な、心理的なことを


語って欲しいし、

インタビュワーにも聞いて欲しいな


その謎だけは、


私のような一般人の人生にも、落とし込めるような何かがあるような気がします。


ともかく、

侍Japan、おめでとう!


2023年3月17日 (金)

全身麻酔の事故・・・② どうする?

非常に稀ですが、

麻酔事故は一定の確率で発生するという話を書きました。


では、

そのような事態になった際に、


飼い主はどうすればよいでしょうか?



① 獣医師と納得のいく話し合いをする
獣医師側も予見不可能だったケースも多く、獣医自体も、しっかりとした説明をしたいと望んでいると思います。


② 可能であれば、解剖する
脳の解剖は一般的ではありませんが(私も実施したことはありません)、胸部(心臓、肺)や、腹部(肝臓や腎臓など)の解剖は、多くの病院で可能だと思います。一般的な術前検査では発見できない心臓病が見つかることも、しばしばあります。


③ 手術データを見せてもらう
病院によっては、手術時の生体モニターのデータが保存されていたり、術中の手術動画が録画されているケースもあります。


➃ 保存血液・術中血液の再検査
中型犬以上の体重の場合は、術前検査に用いた血液が余っていることがあります。場合によっては、その保存されている血液を用いて、事前に実施していない(特殊な)検査を実施すると良いかもしれません。



(先回、今回の麻酔事故の話題は、ある飼い主さんに言われて・・・・とても気が重かったのですが・・・書くことにしました。)

2023年3月15日 (水)

全身麻酔の事故・・・① どうして?

当院の顧客には、以下の2パターンがあります。


① 当院に、かかり付けの方

② 特殊な検査のために、予約で来院の方


②のパターンの場合は、時に、2時間近く検査が続き、その間、色々なお話しをします。


で、

そこでよく話題になるのが、健康だと思われる子での、全身麻酔処置での死亡事例についてです。



健康なだと思われる子に全身麻酔・・・・、


去勢・避妊・歯科処置等での死亡事例のことです。



知合いの知合いの話まで入れると、②で来院された方からは、しょっちゅうそのような話を聞きます。


つまり

少なからず、

健康だと思われる子の全身麻酔での死亡事例はあるということです。



医療と違い


手術での死亡事故が起きても


原因究明をする制度がないので、基本は、原因不明のことが多いです(実は、獣医師側も、そのような制度が欲しいくらいです)。


さて、

麻酔での死亡事例は、何が原因で起こるのでしょうか?


以下は、そのような話になった時に、私が飼主さんにする話です。


人間の場合は、長期間手術での血栓症等が問題となるようですが、



獣医療の場合は、私が想像するに


① 中枢神経系(脳内)への障害

② 循環器系への障害

③ 止血異常(血が止まらない病気)

➃ 麻酔薬の特殊な副作用


等が、原因だと思います。



理由は、

(1) 術前に検査されない(できない)領域

・脳の検査は、
全身麻酔下でのMRI/CT検査で実施されるので、全身麻酔をかける前に脳の検査はできません。


・心臓の検査は、
エコー検査で実施されますが、検査をできる獣医師が少ないのと、高額なため、健康だと思われる子の術前検査では一般的ではありません。


・止血の検査は、
全病院が導入しているわけではない特殊な検査に該当します。


・麻酔薬の特殊な副作用に、
悪性高熱といって、麻酔薬投薬後、異常に体温が上昇するケースが報告されています(非常に非常に稀な事例です)




(2) 死亡事例の経過やプロファイル

・脳への障害
麻酔覚醒後の痙攣のような、脳へのダメージ(脳ヘルニア等)を想像するような事例を、しばしば聞く。逆に、脳に疾患がある症例の、麻酔下での検査(MRIなど)での死亡事例を経験している。


・心臓への障害
突然死を発症する特殊な心筋症の好発種での死亡事例を、しばしば聞く。


・止血異常で
術中、出血が止まらない事例を、非常に稀に聞く。

・術中体温上昇
術中に異常に体温が上昇するケースが、非常に稀であるが報告されている。



(3) 副作用面からの想像

・脳への影響
麻酔薬の中には、脳に影響を与える(脳圧を上げる等)薬剤がある。


・循環器系への影響
麻酔薬や人工呼吸の操作が、血圧や、心機能に影響を与える事がある。


・個体側の問題
悪性高熱のような麻酔薬による致死的な副作用は、麻酔薬をかけてみないとわからない(事前にはわからない)。


です。


・・・・・・・・・・・・・


さも他人事のように書きましたが


当院でも、


脳へのダメージが想定された麻酔事故(麻酔覚醒後痙攣)を、避妊手術で経験しています。この事例以後、麻酔法を根本から見直し、麻酔関係の機械を全て最新式にし、また、当院で手術される方には、この事例の説明を、事前にさせて頂いています。



去勢・避妊・歯科処置の際の死亡事例は、外科的な手技のミスで亡くなるのではなく(もちろん、機械の操作ミスも含めそういうこともあるかもしれませんが)


麻酔自体でなくなる事も、想像できるということです。


私は、診察室では、獣医療における全身麻酔のリスクは、0.2%とお話しています(一時期のコロナの死亡率ですね)。

2023年3月11日 (土)

今年はひどいらしいですね。

都内から通われている患者さん曰く、


『今年はひどい』

『こちらは特にひどい』


らしいです。


何が?

『花粉!!!!!』


都内から車で茂原まで来て、車から降りたとたん、症状が爆発するそうです。


全国的に今年は花粉の飛散が多いようですが、千葉のこの辺りは、山が多いせいなのか、より花粉の飛散量が多いのでしょうか?




そういえば、

今年は診察室で、

これコロナじゃなくて『花粉症なんです』と申し訳なさそうにお話される方も、例年よりも多い気がします・・・・・


花粉症に罹患してない私の態度が、


もしかしたらコロナ渦で、より過敏に表出してしまったのかな~と、申し訳なくなる今日この頃。



臨床の関連で言えば


この時期は


柴犬の皮膚・眼の痒みも増強される時期ですが


今年は、犬も例年より、症状がひどい気がします(通常、1か月程度の治療で改善するが、投薬が長期にわたっている・・・・・5例程度の印象)。


なんとかのり切りましょう!

2023年3月 8日 (水)

CT・MRI・・・・・

当院では、

ドーベルマンやボクサーの疾患の臨床研究をしています。


研究に協力頂く飼主は、99%の方が、地域外や県外など遠方からの来院で、本当に感謝しかありません。


で、

協力頂く飼主さんに、諸々聞き取り調査をしていて


ある時

気が付いたのですが

主治医の情報を聞くと、CT/MRIの保有率が異常に高いんですよね。


つまり

ドーベルマンやボクサーは、CT/MRIを保持する病院へかかりつける率が高い!!

ということ


(両犬種150頭を診てきた1病院の感想ですが・・笑)


なんででしょうか?

大型犬を飼育される飼主さんの特性か、

当院へ来院されるような飼主さんの特性か、


・・・・わかりませんが。


まあ、それはいいとして、


そんな主治医のHPをネットサーフして、


なんていうのか、

尊敬しかないですね。



CT/MRIは、脳・神経系の分野における検査に必須な高度検査機器ですが、犬猫のCT/MRI検査は全身麻酔下です。CTは数分間の撮影ですが、MRIは1時間程度、撮影に時間がかかることがあります。



一般の町医者レベルでも、

動物病院では、

全身麻酔の処置は日常ですが、


全身麻酔が脳・神経系に与えるリスクだけは、事前検査ができず、どれほど怖いか・・・・(去勢避妊手術の前には必ずインフォームが必要です)


つまり、全身麻酔は脳神経系に影響を与える事があるが、そのリスクを調べるためには、全身麻酔をかけてCT/MRI検査をしなくてはいけない・・・という、どうしようもない状況が存在するわけです。



そんな

飼い主とのトラブルも多そうな分野に、

多額の資金を投入して、(おそらく)人生もささげるのですから、


尊敬ですね。



ネットの情報だと、

MRIを保持する動物病院は全国に80件(MRIを保持する病院はCTは必ずあると思います)


尊敬します(3回目)。







 

2023年3月 7日 (火)

がんばらないといけないけど

医療

癌種別のClinical Studyがサマライズされたサイトです。

https://oncotribune.com/summary


こういうデータの集積と、オープンな情報開示が先端医療なんですよね。



例えば、下記にある、この中の肺がんの某studyをクリックしてみてください。

https://oncotribune.com/summary/lung-cancer/impower130


アウトカムの解析の箇所、獣医師で理解できる人いないんじゃないかな~。


医学と獣医学って、

全く違う学問になってきてます。

 

命を預かる身なので、仕事に誇りを持てなければ臨床医としては終わりだけど、昨今の医学と獣医学との差をみると、自身、耐えられなくなることが増えてきました。


研究職から臨床医に転職して25年ですが、統計学、遺伝学、分子生物学などを取り入れ、より厳密科学になってきた医療と獣医療との差は広がるばかりです。


確かに、MRIなどの高度検査機器の普及は目を見張るものがあります(全国12000件の動物病院中、80件程度MRIがあるそうです)。検査、手術の高度化は進みましたが、



ベーシックな知識体系として医療と獣医学を比較すると


なえるな・・。

がんばらないといけないけど・・・・・。

2023年3月 6日 (月)

科学と疑似科学

コロナで色々出てきた疑似科学(あるいは疑似科学的思考)。


医学は、


専門用語の厳密性や、統計学的思考など、門外漢にはなかなか理解するには大変な体系学で、あの天才・ステーブ・ジョブズでさえ、オカルト医療にひっかかって命を縮めたんですよね(彼はそれを晩年後悔したんですよね)。


例えば


免疫が上がるなんて不正確な言葉は医学では使用しないし、


薬に効果がある・・・・というのを数学的に説明できる一般人は、まあ、いない。


疑似科学・・・・オカルト医療が世間を席巻する素地は、生活の中におおいにあるわけですね。



最近読んだ本

『知性の限界 不可能性・不確実性・不可知性』
高橋昌一郎 著


に、科学と疑似科学を区別する基準なるものが掲載されていました(一部抜粋)



● 疑似科学(的な人間)

・自説を信じる事から、自説の流布の必要性を感じる。

・社会的に認知された組織に入るよりも、私的な組織を作る。

・反証不可能な理論・用語を使用する。

・自説を高度に見せる為に、論理と数学を用いる



● 科学(的な人間)

・自己の無知を認め、研究の必要性を感じる

・社会的に認知された組織に所属する

・反証可能な理論・用語を厳密に定義する

・論理と数学に基づいて、理論を体系化する。



我が業界を眺めても、なかなか使える基準。

2023年3月 4日 (土)

なかなか心の持ちようが・・・・

前職は、

人間の製薬会社の研究部門だったので、

薬に対しては考え方がシビアなんですよね。


動物薬では、

人間の薬だったら、開発会議で却下されるような作用メカニズムの薬が、新薬として発売される。


すごい、期待されてね。

は~


そんな新薬

使いたくないけど、

結局、動物薬ではそれしかないわけで、



結局

メーカーの方も、

人間用ではないから、重箱の隅をこれでもかとつつくような検討をせずに、如何に早く安価に新薬を作るかに力をいれるから・・・・しょうがないんだよね。


例えば

アゴニストと受容体があって

アゴニストに作用するのはどちらかと言えば禁じ手で、受容体側・・・・作用点側・・・・をターゲットにするのが薬の王道なんだよね(アゴニストが、未知の作用を保持している可能性がからね)。


(受容体側の方が、より薬を作りづらいんだよね)


あああああ

昔の私と

今の私が

分裂する

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