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北森ペット病院


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2023年5月 9日 (火)

医学と数学②

医学と数学のお話、その②


繰り返し書きますが、私は数学は苦手です。


そのうえで・・・・


医学と比較すると、獣医学分野の、学会発表や論文のひどさは目に余るわけですが、獣医学関連の報告で、よくある間違いが、オッズ比と、リスク比の混同。


● オッズは、起きた現象と、起きなかった現象の比

● リスクは、起きた現象と、合計個体数の比



獣医学でよくある間違いが、


レトロスペクティブ(後ろ向き)研究での、リスク(比)の採用。後ろ向きな研究では、オッズ比が活用されるべきで、リスク比は、意味をなしません。


例を出します。



例えば、

DCMを発症しやすいドーベルマンに、DCMを誘発しやすいグレインフリー食(GF)を与えた場合のDCMの発生率を考えます。

● 仮定の研究①


GF食 :DCM 150、正常 100頭

通常食 :DCM 350、正常 400頭


(ドーベルのDCM発症率は、論文上約50%です。そこからかってに私が仮定した数値です。)


オッズは、(150÷100)÷(350÷400)=1.71

リスクは、(150÷250)÷(350÷750)=1.29


です。


ここで、DCMに罹患してない犬を10倍の5000頭、集めたとします(罹患してない子の方が集めやすいので)。GF食の飼い主の採用率は同じと仮定します。



● 仮定の研究②

GF食 :DCM 150、正常 1000頭

通常食 :DCM 350、正常 4000頭


オッズは、(150÷1000)÷(350÷4000)=1.71

リスクは、(150÷1150)÷(350÷4350)=1.62


オッズは変わりませんが、リスクは変わります。


後ろ向きの研究で、正常な個体を集めるのはたやすいので、リスクで考えると、数値が変わるので、駄目ということになります。



もう1回書きますが、

私は

数学が苦手です


獣医の論文、いいかげん、もう少し、まともになって欲しい。

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