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北森ペット病院


獣医療・動物病院

2024年1月30日 (火)

ワクチン考

犬のワクチンの話。

ネットでは、3年に1回がいいとか、数回打つと終生免疫がつくとか、WASAVAの基準では・・・・なんて色々言説が流布してますが、



私のファミリーが住んでいるニューヨークでは、


レプトスピラのワクチンは毎年接種です。



日本もレプトの汚染地帯だから(千葉もね)、レプト入りのワクチンは毎年接種したほうが良いかもしれない。


つまり、サイエンテフィックには、


パルボ、ジステンパー、アデノの分画の抗体価を血液検査で毎年測り、それらが下がっていたら、その部分の混合ワクチンを接種して、レプトに関しては毎年接種


(レプトの抗体価検査は意味がありません)


なんだと思う。


ただ、そのやり方を、臨床現場に落とし込むのはなかなか大変だし、事実そんなことを確実に実施している動物病院はないと思う。


故に

慣習にもどって、

毎年、レプト入りのワクチンを接種したり・・・・になる。


こういうのを、ニューヨークのように、獣医師会あたりがガイドライン化してくれるありがたいのだが・・・。

2023年7月22日 (土)

HPの有用性・改めて

私は、

他院のHPを観るのがとても好きなのですが、HPの有用性について、最近、改めて感じますね。


飼主側の動物病院HPの見方とは少し違うと思いますが、


私にとって、

他院のHPは、町中の本屋さんなんですね。



読書好きの方は、わかると思いますが、


本て、

自ら探す本



出会う本

があります。



他院のHPは、町中のふらりと入って面白い本に出合わせてくれる、本屋さんのようです。


全科診療が基本の我が業界


専門分野や、好きな分野のアンテナは常にはってますが(新刊専門書、学会等)、全てをカバーするわけにはいきません。


そこで、

今まで知らなかった分野の本との出会いを与えてくれる町中の本屋さんに入るように、他院のHPをみるわけですね。



今の時代、

情報がFACTがどうかは、瞬時にわかります。



他院のHP



ん? なにこれ?



論文検索

なるほど


というわけで、

おそらく飼主さん以上に、(他院の)病院のHPを見まくっている私です。

 

2023年6月25日 (日)

治療の情報

私の病院のHPには、医療情報をかなり豊富に乗せてますが、

治療法は、ほぼ書いていません。


治療法が知りたくて、HP見るのに、意味ないじゃん・・・・って、よく指摘されるのですが、


なぜか・・・


私は、●●病は××で治療する・・・というマニュアルチックなHPや、大上段で獣医師が語るYoutubeのような情報サイトは大嫌いなんですよね。



慢性腎臓病は●●でなおす


アレルギー性皮膚炎は●●でなおす


僧房弁閉鎖不全症は●●でなおす



見たいな奴!


・・・・・・・・・・・・


獣医療の最前線というのは、


例えばね、


この3つ・・・・僧房弁閉鎖不全症に、腎臓病やアレルギー性皮膚炎が併発しているような症例が、しょっちゅう来ます。


こちらを立てれればあちらがたたない治療法って現場ではアルアルなんですよね。


そういう意味では、


私には


●●病は××で治療する・・・・なんて、明言する勇気はサラサラないですね。



2023年6月 8日 (木)

内視鏡・中国人獣医師とミーティング

先だって、

当院で、

中国から来日された獣医師と、内視鏡についての商談的なミーティングを行った(通訳つきで)。


細かい内容はここでは書けないが、


獣医療における内視鏡検査について、日本と中国で状況がまったく違うことがわかり、とても勉強になった。



内視鏡・・・・主に胃内を診るスコープ・・・・は、


日本では、

約30%の動物病院に導入されている。使用頻度は、一般的な町医者レベルでは、年間数回から十数回程度だと思われる。


これに対し


中国では、

約80%の動物病院に導入されており、使用頻度も、非常に高い〈日常的に使用する)。


ペットの内視鏡の診断は、当然、全身麻酔が必要になる。


中国では、激しい嘔吐、頻回の嘔吐の場合、内視鏡検査を直ちに実施することが多いらしい。日本では、そのようなケースでは、血液検査があり、エコーがあり、バリウム検査があり、薬による反応をみて・・・・そして、最後に内視鏡検査となることが一般的だ。それは、全身麻酔のリスクを、日本では、飼い主も獣医師も非常に気にするからだが、


エコー検査等より、内視鏡検査の方が、診断が簡単なのに、どうして日本では最後になるのか?と、彼らには、それが非常に不思議に思えるようだった。


全身麻酔に対する考え方が、中国は、米国よりなんだね。


約2時間の会合だったけど、

有意義でした。



職業に国境は無いね。



2023年5月22日 (月)

駄目な獣医ってね

アンケートや、

インタビューで、

『どんな獣医が良いか』って、質問が、本当に多くて辟易する。


というわけで、

本日は、

逆に

駄目な獣医について。


その前に

ここでも何度も話していますが


昔あった症例。


聴診や触診もできないガウガウの柴犬で、フィラリアさえやってない飼い主。狂犬病ワクチンだけは打ってくれと言われて、来院。

で、

狂犬病ワクチンを打とうとした数秒前に、

なんと

突然死!


もしワクチンを接種していたら、死亡原因はワクチンになっていた可能性がありますね。


というわけで、


古典的な経験主義者の獣医師は、駄目な獣医ですね。

2023年5月13日 (土)

二度と出会えない

male calico

臨床26年目で遭遇

二度と出会えないだろうな・・・・

 




2023年4月22日 (土)

個人の力量より・・・・

後医は名医という言葉があります。


初めの先生でわからなかった病気が、次の先生で治る・・・・みたいな意味です。



初回の治療経過を、次の先生は自身の治療に生かせる事、


時間が経過し、症状が更に明確になった2回目の先生の方が、より正確な診断がつきやすい事、


・・・が、


後医を名医にする理由ですね。




ここでのポイントは、


初回の先生と、次の先生の獣医学的判断(診断と治療)が、有機的に結びつくことですね。



結局

病気は


獣医師個人や、病院が治しているわけではなくて、獣医学が治しているということ。



このあたりの感覚が欠如した獣医師にあたると


ペットも、飼主も不幸になりますね。




●●病院は良いよね~

よりも、

●●地域の獣医療は良いよね~

の方が、


結局、ペットは幸せなんだよね。


うちの地域は、そういう意味では、なかなかイケてると思うね。

2023年3月15日 (水)

全身麻酔の事故・・・① どうして?

当院の顧客には、以下の2パターンがあります。


① 当院に、かかり付けの方

② 特殊な検査のために、予約で来院の方


②のパターンの場合は、時に、2時間近く検査が続き、その間、色々なお話しをします。


で、

そこでよく話題になるのが、健康だと思われる子での、全身麻酔処置での死亡事例についてです。



健康なだと思われる子に全身麻酔・・・・、


去勢・避妊・歯科処置等での死亡事例のことです。



知合いの知合いの話まで入れると、②で来院された方からは、しょっちゅうそのような話を聞きます。


つまり

少なからず、

健康だと思われる子の全身麻酔での死亡事例はあるということです。



医療と違い


手術での死亡事故が起きても


原因究明をする制度がないので、基本は、原因不明のことが多いです(実は、獣医師側も、そのような制度が欲しいくらいです)。


さて、

麻酔での死亡事例は、何が原因で起こるのでしょうか?


以下は、そのような話になった時に、私が飼主さんにする話です。


人間の場合は、長期間手術での血栓症等が問題となるようですが、



獣医療の場合は、私が想像するに


① 中枢神経系(脳内)への障害

② 循環器系への障害

③ 止血異常(血が止まらない病気)

➃ 麻酔薬の特殊な副作用


等が、原因だと思います。



理由は、

(1) 術前に検査されない(できない)領域

・脳の検査は、
全身麻酔下でのMRI/CT検査で実施されるので、全身麻酔をかける前に脳の検査はできません。


・心臓の検査は、
エコー検査で実施されますが、検査をできる獣医師が少ないのと、高額なため、健康だと思われる子の術前検査では一般的ではありません。


・止血の検査は、
全病院が導入しているわけではない特殊な検査に該当します。


・麻酔薬の特殊な副作用に、
悪性高熱といって、麻酔薬投薬後、異常に体温が上昇するケースが報告されています(非常に非常に稀な事例です)




(2) 死亡事例の経過やプロファイル

・脳への障害
麻酔覚醒後の痙攣のような、脳へのダメージ(脳ヘルニア等)を想像するような事例を、しばしば聞く。逆に、脳に疾患がある症例の、麻酔下での検査(MRIなど)での死亡事例を経験している。


・心臓への障害
突然死を発症する特殊な心筋症の好発種での死亡事例を、しばしば聞く。


・止血異常で
術中、出血が止まらない事例を、非常に稀に聞く。

・術中体温上昇
術中に異常に体温が上昇するケースが、非常に稀であるが報告されている。



(3) 副作用面からの想像

・脳への影響
麻酔薬の中には、脳に影響を与える(脳圧を上げる等)薬剤がある。


・循環器系への影響
麻酔薬や人工呼吸の操作が、血圧や、心機能に影響を与える事がある。


・個体側の問題
悪性高熱のような麻酔薬による致死的な副作用は、麻酔薬をかけてみないとわからない(事前にはわからない)。


です。


・・・・・・・・・・・・・


さも他人事のように書きましたが


当院でも、


脳へのダメージが想定された麻酔事故(麻酔覚醒後痙攣)を、避妊手術で経験しています。この事例以後、麻酔法を根本から見直し、麻酔関係の機械を全て最新式にし、また、当院で手術される方には、この事例の説明を、事前にさせて頂いています。



去勢・避妊・歯科処置の際の死亡事例は、外科的な手技のミスで亡くなるのではなく(もちろん、機械の操作ミスも含めそういうこともあるかもしれませんが)


麻酔自体でなくなる事も、想像できるということです。


私は、診察室では、獣医療における全身麻酔のリスクは、0.2%とお話しています(一時期のコロナの死亡率ですね)。

2023年2月28日 (火)

一部、新患、再開します

診察数の増加、体調不良 等で、2020年より新患をお断りする状況でした(昨年は、300件くらいお断りしてしまいました)。


日々の業務の異常な増加で、手術も日程調整ができず、(他院にお願いして)お断りせざるを得ない状況もあり、悔しいこの数年でした。


今年に入り、

ようやく、日々の診察数も、ピークの30%減となり、


(昨年来、当地域には、若い新しい院長の病院も新設され、それが大いに影響していると思います。嬉しい~。)



一部(ここ重要)、

新患受付を再開いたします。



新患の受付を再開する診療科は


・ワンちゃん全般

・皮膚科


です。


これまで通り、既に診察券をお持ちの方の新しいペットは、全てOKです。

2023年1月21日 (土)

当院の自慢話

うれしいことがありました。


当院に関する、自慢話です。


当院のスタッフが、


なんと

米国獣医看護師協会認定獣医助手の免許をとりました。


Ava



毎週数例のケースレポートを米国の某獣医大に提出すること数ヶ月(当然英語です)。


成績が良いと、


受験資格を得ることができます。



その後、約1年当院で働きながら様々勉強をして


いよいよ試験!


150分で、100問の試験に75%以上の正解で資格取得になります。



約1年半かかりましたが、見事合格しました!


(今後は、試験による2年毎の更新となります)



日本にはそもそも無い資格ですし、日本で使用できる資格ではありませんが(米国ならばどこでもOK)、



習得した資格それ自体もすごいですが、


それ以上に、


米国の資格を、コツコツ勉強して習得した・・・・・その道のりに拍手ですね。



私と同世代の女性ですが、


やる気になったら、


年齢なんて関係ないですね。



日本人は、大学を出ると、系統的に勉強される方が本当に少なくなります。

そんなんじゃ駄目だよね!



米国みたいに、何歳からで人生に再チャレンジできる国じゃなきゃね!


人生100年だもの!


私もがんばらなきゃ。

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